KDDI、auフィナンシャルホールディングス、ウェブマネー、ディーカレットの4社は、2020年2月18日から2月28日まで、ブロックチェーン上に発行するデジタル通貨に関する共同検証を実施している。
共同検証ではブロックチェーン上にデジタル通貨を発行。発行から流通、償却までにまつわる業務プロセスの一部と決済処理について、送金や決済など取引に伴うさまざまな処理を自動化する「スマートコントラクト」を用いて技術的な検証を実施する。あわせて、将来的な実用化に向けた課題の洗い出しも行う。
近年、ブロックチェーンを活用した取り組みが広がるに伴い、ブロックチェーン上の取引と親和性が高く、プログラム制御が容易な決済手段のニーズが生まれてきている。KDDIはグループ各社の連携によりスマホ・セントリックな決済・金融体験を総合的に提供する「スマートマネー構想」を掲げており、実現に向けてフィンテックを活用した新サービスの研究を進めている。
19年7月には、仮想通貨交換事業者のディーカレットに出資を行っている。今回の共同検証は、出資時の目的である「デジタル通貨ビジネスの推進および新たな顧客体験価値の創出」に関する取り組みの一環。具体的には、ディーカレットが構築したブロックチェーン上でデジタル通貨を発行・管理するプラットフォームを活用し、デジタル通貨の発行、流通、償却について検証する。
共同検証では、auフィナンシャルホールディングスの子会社かつ資金移動業登録業者であるウェブマネーが、共同検証におけるデジタル通貨を発行。発行されたデジタル通貨をKDDIが共同検証の参加者に配布し、受け取った参加者は、共同検証用に用意したカフェでデジタル通貨を用いて決済できる。
また、カフェでの購入代金は、前日との気温差に応じて、気温が低い場合はホット飲料の値段を下げるなど、ダイナミックプライシングによる自動割引の有効性も合わせて検証する。なお、参加者はプロジェクト関係者のみとなる。
各社の役割としては、KDDIがデジタル通貨の発行依頼をウェブマネーに出し、発行された通貨の流通を行う。auフィナンシャルホールディングスはプロジェクト全体の進捗管理などを担当。
ウェブマネーは資金移動業者の登録に基づいて、共同検証で利用するデジタル通貨を発行する。また、本検証の終了時には発行した通貨の償却を行う。ディーカレットはデジタル通貨の発行・管理を可能とするプラットフォーム、また共同検証で利用する決済用ツールを提供する。
関連記事
- 仮想通貨とデジタル通貨
ビットコインなどの仮想通貨は投資対象として考えてよいだろうか。各仮想通貨はそれぞれ性格が異なるので一言では言いにくいが、ビットコインへの投資は金投資と似ている。 - ブロックチェーン市場は年率66%成長 5年後には1000億円市場に ミック経済研究所
2018年度に53億円だったブロックチェーン市場規模は、19年には95億円へと増加。同市場は24年まで、年平均成長率66.4%で成長し、24年には1130億円に達すると予測している。 - ブロックチェーンを理解している経営者は16% 期待は高いが理解追いつけず
ガートナーの調査によると、「ブロックチェーンを理解している」経営層の割合はわずか16.7%だった。これは1年前から大きく減少している。「変化し続けるブロックチェーン技術の動きに経営層が追いつけずにいる」とガートナーは分析している。 - ブロックチェーン技術を使った資金調達STOの業界団体、SBI証券ら証券6社が立ち上げ
ブロックチェーンなどに記録された有価証券(セキュリティ・トークン)を発行することで資金を調達するSTOの環境が整いつつある。SBIとカブコム、大和、野村、マネックス、楽天の証券6社は、自主規制の作成などを行う日本STO協会を設立した。 - ブロックチェーンを分散型DBとして使うメリットとは? スマートロックに応用するブロックチェーンロック
ブロックチェーンロックは、サービスの利用履歴や利用者の本人確認状況(KYC)などをブロックチェーンに書き込むことで、パートナーなどが広く利用できるプラットフォームの構築を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.