日本クレジットカード協会(JCCA)は野村総合研究所と協力し、訪問留置調査した1000世帯より2万1303件の家計消費支出明細データを収集の上、消費実態調査を実施した。
その結果、キャッシュレス決済の成長余地(現金決済金額規模)は年間73兆円と推計されることが分かった。また、年間73兆円の現金決済を構成する消費者のうち、「現金派」や「キャッシュレス派」のいずれでもない「使い分け派」が約4割を占めることが判明した。
また、JCCAの独自算出による「家計消費調査からみたキャッシュレス決済比率(JCCA)」は62%と推計された。 仮に、現金派を除く消費者層(主に使い分け派)による現金決済規模の成長余地41兆円をキャッシュレス決済に転化できれば、同比率は83%に達するとしている。
決済シーン毎の現金決済シェアをみると、金額ベースの比率では「店舗での支払」のうち43%、「定期的な支払」のうち93%、「EC」のうち88%がキャッシュレスで決済されている。また、「店舗での支払」「定期的な支払」「EC」トータルの“家計消費調査からみたキャッシュレス決済比率(JCCA)”は62%(120兆円)であると推計された。
JCCAは現金派を除く消費者層(キャッシュレスと現金の使い分け派)による現金決済規模を41兆円と推計し、これを狭義のキャッシュレス成長余地と位置付けた。その中では、「店舗での支払」におけるキャッシュレス決済の成長余地が37.9兆円と大きな割合を占めている。
市場の成長余地が見込めるということは、そこを狙うビジネスも激化するということだ。決済サービス事業者の覇権争いが激化するなか、2020年も店舗での支払い時におけるキャッシュレス決済がどの程度広がっていくかが注目される。
なお、同調査報告書における「キャッシュレス決済」は、現金(紙幣・硬貨)以外の決済手段全般を指し、クレジットカードや電子マネーの他、コード決済、口座振替、銀行振込もキャッシュレス決済に含めている。また、重複計上を避けるために、最終的な支払に選択された決済手段のみを集計・推計の対象としている。
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