スマホ決済の勝者はこのまま「QRコード決済」になるのか? 一筋縄ではいかないこれだけの理由:2020年がターニングポイントに?(2/4 ページ)
キャッシュレスブームの主役ともいえるスマホ決済。ヤフーとLINEが経営統合を発表し、一方ではメルカリがOrigamiを買収するなど再編の動きが進む。業界「内」の淘汰は進むが、業界「外」にまだまだ強敵がいるようで……。
「メルカリ・Origami連合」は劣勢か
各社は、キャッシュバックを中心とした大々的な顧客獲得キャンペーンを行ってきました。このキャンペーンを、ライバル陣営の動向を意識しつつ断続的に戦わせることになり、当面はコストばかりがかかる苦しい消耗戦に突入したといってもいい状況なのです。LINEが2期連続の赤字決算を受けてヤフーとの統合を選択せざるを得なかったのは、まさにそういった事情の反映であり、まったく同じ理由でこの2月にはQRコード決済の老舗Origamiが、メルペイを展開するフリマアプリのメルカリに買収統合されるという事態も起きています。
Origamiは12年に創業。キャッシュレス決済をいち早くビジネス化し、業界をけん引してきたITベンチャーの雄でした。しかし16年以降、相次ぐ大手の業界参入によってその影は次第に薄くなり、資本規模の小さい同社は顧客取り込みキャンペーンの実施すらままならずここ1〜2年はジリ貧の状態が続いていました。一部報道によれば、今回のメルカリによるOrigami買収は1株1円だったとのことで、Origamiは実質破綻状況にあったと言えます。陣営乱立の戦国時代を迎えて久しいQRコード決済業界ですが、新参ベンチャー企業組には大変厳しい競争状況にあることがうかがい知れる出来事です。
一方、買収側のメルカリですが、こちらも決して「安泰」とは言い難い状況にあります。同社はフリマアプリで急成長を遂げ18年6月に東証マザーズへ上場。しかし、ブルーオーシャンだったフリマアプリ市場へ続々と大手が参入し、レッドオーシャンに転じる形で赤字決算続きに。株価も上場時の5000円台から、現在は2000円を割り込むこともあるなど右肩下がりの状況にあります。
加えて、事業拡大をもくろんだ米国進出も国民性の違いから伸び悩み状態にあり、後発で乗り出したQRコード決済事業メルペイの成長に活路を見いだすべくOrigamiを買収した、という流れなのです。本業がおぼつかない中での今回の買収は「ヤフー・LINE」に対して“弱者連合”の感を拭えず、同社は今後さらなる弱肉強食展開の餌になりかねない状況にあるように思えます。
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