「カード決済の場合には手数料をいただいております」、本当は違法? 知らなかった意外な事実:「違反」なのか「違法」なのか
居酒屋などで、クレジットカードの決済手数料をお客に請求する店がたまにある。この手数料に関するツイートをきっかけに、「知らなかった」「違法なのでは?」といった反応が起こっている。手数料を請求することは違法なのか? 各カード会社の規約を見てみると……経済産業省にも聞いた。
クレジットカードの利用時に、手数料を請求するのは「違法行為」――。こうした議論が一部ネットで巻き起こっている。きっかけとなったのは、12月21日につぶやかれたツイートだ。
居酒屋などで、カード決済時の手数料を請求された経験がある人もいるだろう。ツイートでは、カード決済の手数料を請求する店とツイート主とのやりとりが表現されている。店側も「正しくないこと」という認識があるのか、ツイート主がカード会社に詳細を確認しようとすると、「今回はサービスする」として、手数料を請求しなかった。
このツイートに対して「全く知りませんでした、、、」「飲み屋とかで10パーの手数料取られるのは違法なんですね」(ともに原文ママ)といったリプライが集まった。
ただ、実際には「違法」ということではなく、あくまで各会社の「規約違反」に当たる行為にとどまるようだ。クレジットカードに関する「割賦販売法」を管轄する経済産業省に問い合わせたところ、「割賦販売法は主にカード会社と消費者との取引に関する法律。従って、カード会社と加盟店との取引や契約については特段関係がない。カード会社が加盟店に課す規約で、手数料を禁止する項目があるというのは聞いているが、法律上で規制することはない」と回答があった。
ちなみに、筆者が確認したカード会社5社の加盟店規約を見ると、その全てに現金支払いと異なる料金の請求を禁止する文言が入っていた。ジェーシービーの担当者に、過去に規約違反のケースがあったのか聞いたところ「規約違反を確認した場合、是正勧告を行う。従わなかった場合には、加盟店契約を廃止する。細かいことは答えられないが、過去にこうしたケースはあったと思う」とコメントした。
なお、各カード会社の規約を読むと、現金支払いと違う金額を請求することだけでなく、カード決済の利用者に対して不利であったり、差別的であったりする対応を禁じるものも多い。つまり、「ランチタイムはカード不可」とするような店も、見方によっては規約に違反することがあるようだ。
キャッシュレス化が進み、クレジットカードだけではなくスマホ決済を利用する人も増えてきた。決済に手数料のかからない現金払いで済ませたいとしても、規約違反は思わぬ「炎上」につながりかねない。加盟店は、いま一度襟を正し、健全な活動に努めたい。
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