店舗がもうかる「売れるAIショーケース」を作る
冷凍冷蔵ショーケースの提供とメンテナンスを担うフクシマガリレイの福島豪氏は、「従来の鮮度管理と省エネだけではなく、店舗がもうかる”売れるAIショーケース”を作っていくという発想の転換が必要。店舗をメディア化し、活性化させる役割を担っていきたい」と語った。現状リテールAIプラットフォーム唯一のファシリティ企業として、リテールAIのインフラ構築・メンテナンスを通じて普及に努める考えだ。
4月24日リニューアルオープンのトライアル長沼店には、AIカメラ、電子棚札、デジタルサイネージ、ビーコンを搭載したIoTデバイスなどを配備し、欠品検知、人流検知、商品検知に役立てる。さらに、それを活用した自動発注、ダイナミックプライシング、パーソナライズサイネージ広告といった仕掛けを通し、「買い物を楽しめるスーパー」を作り上げていく。
新たな実験が交差するスマートストア・トライアル
ちなみに、トライアルの店舗でサントリー酒類と日本ハムが取り組む「AIによる棚割」、残念ながら現状では、人間が作った棚割を上回る結果が出せる状態ではないという。
人間が作る棚割では、酒類棚ならば350ml、500ml、6缶パックをパッケージごとに並べ、消費者目線で探しやすくしようと心掛ける。一方AIは、「売れ筋の商品の中で、この商品はここに置くと良い」というところまでは出せるが、350ml、500ml、6缶パックを判別して棚割に落とし込むことまではできていない。消費者にとって買い慣れた視界的要素までを読み込ませてはいないため、規則性のない並び方になり、商品が探しにくくなってしまうのだという。
各社が個別最適で抱え込んできたデータをオープンイノベーションによって集約し、AIに読み込ませるデータが増えれば、いつか人間の棚割を超える成果を上げることができるのだろうか。
関連記事
- 顧客行動の8割がいまだ謎、Amazon対抗目指すスマートストア「トライアル」の勝算
購買行動の多くを占める「非計画購買型」をどう可視化していくのか。AIカメラやセルフレジ機能付きスマートカートを導入したスマートストア「スーパーセンタートライアル田川店」の取り組みを聞く。 - インスタ映えで客殺到の裏にアルバイト管理の苦悩……カフェ店舗経営の課題を解決したテクノロジー
インスタ映えで人気の「MIRlitonCafe」店長に聞く、シフト表作成の手間を大幅に減らしたテクノロジーとは? - 「たばこは無言で買う時代」 セブンが実験店で掲げた“秀逸”すぎるコピーの意味とは?
セブンが実証実験を継続的に行う拠点がある。実際に行ってみると「たばこは無言で買う時代」というコピーがあった。どんな意味があるのか? 実際にたばこを買ってみた。 - 「an」終了にみるバイト求人の本当の課題 テクノロジーは人材広告業界の不透明性を解消できるか
パーソルグループ傘下のSEEDS COMPANYで、スマートフォンに特化した業界初の採用支援ツール「x:eee(エクシー)」の事業責任者を務める陳シェン氏に話を聞いた。 - イチゴが近づいてくる! 農業を救うかもしれない「自動化」の現場を探る
農業の現場は高齢化や人材不足に陥っている。その解決に役立つと期待される技術が「自動化」だ。イチゴが動くことで収穫の作業負担を軽減する「イチゴ移動栽培装置」、経験がなくても適切な水やりができる「自然給水栽培装置」。この新しい技術を佐賀の現場で体感した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.