好調ワークマン、コンビニと一線画す「秘密のフランチャイズ」戦略に迫る:コンビニオーナー“大反乱”の真相(4/4 ページ)
コンビニ業界で限界が指摘される「フランチャイズ」方式。他の小売り業界では果たしてどうか。作業服大手のワークマンのケースを探る。
慢性化する人手不足は?
一方で、どこの小売店でも問題になっている人手不足は、ワークマンでも無縁ではいられない。ワークマンプラスだと10人ほどのアルバイトをシフト制で使い、店ではオーナーを含め常時4〜5人が働く。いつもの物をさっと買っていくプロの職人だけでなく、一般客の増加で、商品説明など接客に時間がかかるようになった。そこで加盟店の求人を本部でもバックアップしようと、1月から自社サイトに「パートアルバイト募集ページ」を開設、求人したい店舗が無料登録できるようにした。
働き方改革にも取り組み、もともと1月1〜2日に限られていた正月休みを20年から三が日(3連休)に延長。年間の店休日も、18日から22日に増やした。
ワークマンは現在、PB(プライベートブランド)商品比率が50%まで高まった。すぐれた商品を開発してそれがメディアやSNSで話題になり、客数と売り上げが年々伸び、本部も加盟店も利益が増える。そんな成長期のワークマンと、成熟市場での過当競争という局面にあるコンビニとを同列に比べるのは難しい。また、オーナーの働き方という面では、もともと24時間営業はなく、年22日の休日があるのも魅力に映る。
ただ、売り上げによって変わらない一定のロイヤリティー率やノルマの廃止、高い再契約率などは、後発企業としてコンビニFCの問題点を反面教師とし、独自の改善を加えた結果だろう。コンビニよりはGAPやユニクロに近い製造小売(SPA)モデルも、現在までのところうまく回っているように見える。
とはいえ、今日の勝者が明日の敗者にもなるのがビジネスシーンだ。急成長に担い手や物流のインフラは追い付いているのか。ヒット連発はいつまで続くのか。それが止まったとき、加盟店が抱える在庫が負担にならないか。ワークマンにも、急成長しているからこその課題はもちろんある。それでも同社の工夫は、コンビニFCの改革を考える上でも示唆に富んでいると言えるのではないだろうか。
著者プロフィール
北健一(きた けんいち)
ジャーナリスト。1965年広島県生まれ。経済、労働、社会問題などを取材し、JAL「骨折フライト」、郵便局の「お立ち台」など、企業と働き手との接点で起きる事件を週刊誌、専門紙などでレポート。著書に『電通事件 なぜ死ぬまで働かなければならないか』(旬報社)、『その印鑑、押してはいけない!』(朝日新聞社)ほか、共著に『委託・請負で働く人のトラブル対処法』(東洋経済新報社)ほか。ルポ「海の学校」で第13回週刊金曜日ルポ大賞優秀賞を受賞。
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