結局、キャッシュレスは誰のためなのか(1/3 ページ)
消費税増税の対策として大々的に打ち出されたキャッシュレスによる還元事業。PayPayをはじめとして、ド派手なキャンペーンが繰り広げられているが、実態はどうなのだろう。
著者プロフィール:猪口真(いのぐち・まこと)
株式会社パトス代表取締役。
消費税増税の対策として大々的に打ち出されたキャッシュレスによる還元事業。PayPayをはじめとして、ド派手なキャンペーンが繰り広げられているが、実態はどうなのだろう。
「キャッシュレスなら〇%還元」という表記を見ることも多く、スマホをかざしながら決済する光景は、店舗によってはメジャーとなっているし、実際、各種統計データをみても、圧倒的に多いクレジットカードの利用率を筆頭に、スマホでの決済はかなり増加している。
ただし、気になる調査結果がある。「キャッシュレス推進協議会」が2020年1月10日に公表した、キャッシュレス・ポイント還元事業の事業開始前と事業期間中に実施した消費者と店舗向けアンケートの調査結果だ。
まず、今回はじめてキャッシュレス支払いを導入した店舗が、全体の34%を占めた。やはり、国の補助によって購買価格が下がるのだから、「お客様が来てくれるだろう」とびつくのも無理はない。しかも、端末費用や手数料も補助金やキャンペーンを利用すれば、ほとんど負担なく導入できるとあり、かなりの店舗で導入された。
さらに、37.8%の店舗が「キャッシュレス・消費者還元事業に参加する前からキャッシュレスの支払い手段を導入していたが、還元事業をきっかけにしてキャッシュレスの支払い手段を増やした」としており、還元事業参加店舗全体の70%以上が、今回の還元事業をきっかけに、キャッシュレスへの対応を強化したといえる。
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