結局、キャッシュレスは誰のためなのか(3/3 ページ)
消費税増税の対策として大々的に打ち出されたキャッシュレスによる還元事業。PayPayをはじめとして、ド派手なキャンペーンが繰り広げられているが、実態はどうなのだろう。
これはいったいどういうことなのだろうか。
普段の会話のなかでも、「現金使わなくなった」との声を耳にすることも増えたが、単純に、これまで現金で支払っていた人が、カードやスマホ決済に切り替えたということか。(余談だが、実際、iDなどの決済は便利で速いが、アプリ立ち上げて画面を出して、というのは、意外にも面倒だったりもする。)
確かに、キャッシュレスにすれば、還元してくれるのだから、単に現金から置き換わっただけだとも思える。基本、増税されているのだから、消費意欲が増すまでには至らないのが本音か。
しかし、店舗側の負担は少ないとしても、この仕組みの導入には、莫大なコストがかかったはずだ。さらに、ド派手なキャンペーンは、Yahoo!にしてもメルカリにしても、一向に回収のめどは立たず、何千億の赤字となっているとも聞く。現に先駆的存在だったOrigamiは多額の赤字のまま消えた。
現状のスマホ決済の伸び率からしても、この店舗の「効果がない」という反応からしても、どう考えても、この巨額投資がまかなえるほどスマホ決済が普及していくとも思えない。
そして、6月にはこの還元事業は終わる。
これまで手数料無料だった店舗は、間違いなく、費用の負担を求められる方向にいくだろう。消費者に負担を求めるわけにいかないとなれば、それしかないはずだ。店舗側にメリットが感じられない、のにだ。
とすれば、この先、この流れはどうなるのだろうか。加えてこのコロナ騒ぎだ。
もう、キャッシュかキャッシュレスかなど、吹き飛ぶほどのインパクトなのだ、もはや店舗には、1%の手数料ですら払いたくもないだろう。しかし、キャッシュレスに対しては、すでに巨額の設備投資と販促費用が投下されている。
流通を活性化させるために推進されてきたこのキャッシュレス。結局、誰のためのものなのだろうか。逆に、これまでの行き過ぎた投資が足を引っ張ることのないように願うばかりだ。(猪口 真)
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