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新品の電車はどうやって運ばれる? 線路をどこまでもつなぐ、2つの理由:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/5 ページ)
3月26日深夜、新潟県のえちごトキめき鉄道で珍しい列車が走った。しなの鉄道向けに新規製造された電車を運ぶ「甲種輸送」だ。線路がつながっていれば、他の鉄道会社の線路を経由して電車を運べる。だが、鉄道ネットワークにはもう一つ大きな役割がある。
時々運転室に警報が鳴る。これは一定時間に運転操作がない場合に働く。運転士が何らかの事情で運転不能になった場合に列車を停めるシステムで、確認ボタンを押さないと自動的に非常ブレーキがかかる。「妙高はねうまライン」は安定した速度で長時間運行できる区間が多いようで、何度も警報が鳴った。こうした状況を把握するためにも訓練運転は必要だ。
【更新:2020年5月21日 システムに関する一部表記を修正しました。】
えちごトキめき鉄道は、北陸新幹線の長野〜金沢間延伸開業に伴ってJR東日本から経営分離された新潟県内の路線を運行する会社だ。路線は2つ。旧北陸本線、市振〜直江津間を継承した「日本海ひすいライン」と、旧信越本線、妙高高原〜直江津間を継承した「妙高はねうまライン」だ。
このうち「日本海ひすいライン」は常に貨物列車が走っている。京阪神と東北・北海道を結ぶ「日本海縦貫ルート」の一部を担うからだ。しかし「妙高はねうまライン」には定期運行する貨物列車はない。そこで訓練運転が必要となった。
訓練運転のきっかけは冒頭で紹介したように「しなの鉄道の新造電車を運ぶため」だ。しかし、えちごトキめき鉄道は「妙高はねうまライン」の貨物輸送に別の意義を持っている。それは「鉄道のネットワークを維持する責任」だ。取材のお誘いは、その取り組みを知ってほしいというものだった。
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