仕事のテレワーク化、「コロナで嫌々」でなく「当たり前」に変える秘訣:危機をチャンスに(3/4 ページ)
新型コロナで急務となった企業のテレワーク化。実は多くの業務で代替可能と筆者は指摘。コロナ危機をチャンスに変えるコツとは。
テレワークの「さぼり問題」どうするか
既にテレワークを実施している企業においては、チームでおこなう仕事がテレワークでなかなか進まなかったり、人材マネジメントに苦慮している人も多いのではないだろうか。
テレワークでのチームワークやマネジメントに共通するポイントは「コミュニケーションの可視化」である。テレワークはともするとソロワークになりがちであり、意識しないとコミュニケーションが不足する。また、毎日顔を合わせるわけではないので、上司はコンディションや進捗の確認も意識しておこなわなくてはいけない。
そうしたこともテクノロジーを使えばある程度補完することができる。ビデオ会議やチャットツールに加えて、Bizer teamなどのチームワーク可視化ツールやKAKEAIのようなマネジメント可視化ツール、1 on 1 naviなどのタイムリーなフィードバック支援ツールやMotifyなどのコンディション管理支援ツールなどもある。
また、「さぼっていると思われるのではないか」という不安からテレワークをする側が躊躇(ちゅうちょ)することもあるが、例えばMITERASのような労務実態把握ツールを使って労働時間把握に加えて作業内容を見える化すれば、社員がきちんと働いていることを証明できるようにもなる。
人材育成の分野では、既に新人研修がeラーニングなどを利用して進められているが、既存社員の人材育成も凍結していては競争力の低下につながる。あらかじめ録画されたコンテンツを視聴するeラーニングだけでなく、UMUのように双方向コミュニケーションが可能なサービスを使ったオンライン集合研修などもある。今回の新型コロナウイルス対応を機に、オンラインではない通常の集合研修を提供していた研修会社も新人研修や管理職研修などのオンライン集合研修サービスを提供し始めている。
長期的には、評価や異動、健康管理といったマネジメントの在り方も視野に入れる必要があるだろう。今回の新型ウイルスの流行にかかわらず、HRテクノロジー導入は時代の流れであり、HRテクノロジー市場はこの数年で大きく拡大傾向にある。初期は労務管理や採用といった特定の分野にとどまっていたが適用範囲が広がってきており、実用化フェーズにあるサービスも多い。新たなテクノロジーの導入は不安が伴うが、導入実績を踏まえて選定することもできるだろう。
いまはBCP(事業継続計画)としての対応であったとしても、テクノロジーの導入は中長期的に、「働きやすさ」による従業員のエンゲージメント向上や人事業務、及び、人材マネジメントの「効率化・最適化・高度化」による新たな付加価値をもたらすものである。アフターコロナを見据えて、"生産性向上"や"精度の高い意思決定"を実現するための戦略的投資と考えるべきであろう。
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