コロナ禍で時短、休業、閉店に陥ったコンビニの絶叫 「“社会インフラ”なのに支援無い」:コンビニオーナー“大反乱”の真相(1/3 ページ)
新型コロナの影響がコンビニ加盟店を直撃。売り上げ激減に加え従業員の感染不安で営業難しく。オーナーは国や本部の支援の薄さを嘆く。
新型コロナの感染拡大を防ぐための緊急事態宣言は、コンビニエンスストアの経営にも深刻な影響を与えている。生活必需品を販売するコンビニは「休業要請」の対象にはなっていないが、立地によってはかなりの売上減に見舞われた。街の人出が減ったからだ。もともときつかった人繰りがさらに厳しくなった店も少なくない。
大手コンビニ各社は積極的には開示していないが、経営環境の激変を受け時短営業に踏み切った加盟店は多く、中には休業、閉店を決めた店もある。どういった事情から、「24時間年中無休」を支えてきたコンビニオーナーたちは時短や休業を選んだのか。
売り上げ半減、「給付金詐欺」のうわさも
「4月の売り上げは前年同月の約半分、日販(1日当たりの売り上げ)20万円を切るほどです」
ファミリーマート宮崎中央通店(宮崎市)のオーナー、高橋義隆さん(40)はそう明かす。高橋さんの店は、宮崎市最大の飲み屋街の端に位置する。毎晩のにぎわいが来客と売り上げの基盤だったが、緊急事態宣言で一変する。飲み屋街に軒を連ねる飲食店の8割が休業し、客足もさっと引いたからだ。
お客が来なければ売り上げは立たないが固定費は出ていく。高橋さんの店は売上減で、月30〜50万円の赤字に陥った。ファミリーマートには「総収入最低保証」という仕組みがあり、粗利が一定水準(契約によるが年約1700〜2000万円)を割ると、本部が加盟店の総収入を保証する。高橋さんの店にもこの仕組みが適用されたが、赤字を減らすためにやむなく、5月1日から午前7時〜午後11時の時短営業に踏み切り、人も減らした。
「在宅の奨励で、住宅地のコンビニやスーパーの売り上げが増えたという話も聞きますが、地方都市では減った店が多いでしょう」と高橋さんは話す。
飲み屋街の灯(あか)りが消えて、防犯面のリスクも気になっている。各チェーンのオーナー仲間たちからは、詐欺未遂と思しき話も聞こえてきた。本部社員を名乗る男から、「いま行政窓口に来ているが、給付金の手付がいる。これから店に取りに行く」という不審な電話が店に架かってきたという。
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