なぜ新型コロナで納豆や電子レンジの値段が上昇したのか? データで読み解く:物価は消費活動を映し出す鏡(2/3 ページ)
コロナ禍による経済環境の変化に伴い、経済指標や株価、為替などの情報に注目する人が増えてきた。物価はモノやサービスの値段という認識の人が多いかもしれないが、実は家計の消費行動を推察するのに重要な経済指標ともいえる。今回は直近の物価情報に基づき、新型コロナウイルスが人々の消費行動にどのような影響を与えたかを見ていきたい。
Stay homeが徐々に浸透している
つぎに家電を見てみよう。電気炊飯器の価格が上昇傾向にあり、加えてそれ以上に電子レンジが非常に高い価格上昇をみせている。
どちらも緊急事態宣言の発令や不要不急の外出自粛要請により、自炊をする人が増えたという証拠だろう。自宅でお米を炊く人はそれほど多くないかもしれないが、手軽な調理など用途が多い電子レンジの方が、需要も大きかったのだろう。この20年間で見てみると、ずっと下落傾向にあった電子レンジの価格が、足元で急速に上昇している。
ちなみに、このような国の経済指標に対して、業界団体が公表するデータを掛け合わせることによって、より実態に近づくことも可能だ。例えば、食品スーパー業界3団体が5月21日に発表した4月の全国食品スーパー売上高の内訳を見てみると、一種のコロナ特需に沸くスーパー業界にあって、総菜は既存店ベースで前年同月比-4.7%と下落している。
これは仕事帰りに買って帰るという需要が自炊によってなくなったからだと考えられ、先ほどの自炊による電気炊飯器や電子レンジへの需要増との整合性が取れる。
つぎにPCと周辺器具について見てみよう。PCは特にデスクトップ型の価格が3月、4月と上昇幅を大きくしていることからも、在宅勤務をする人がかなり増えたことが分かる。PCはノート型も品目として公開されているものの、こちらは価格が上昇しておらず、むしろ下落傾向にある。ここからも在宅勤務による需要増だと推測できる。
また、家で印刷やスキャンをする必要もあることから、周辺機器としてプリンタにも需要が集まったようだ。
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