コロナ対策、現地日本人が「中国は安全」と思えるこれだけの根拠:浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(2/4 ページ)
新型コロナ感染が世界で最初に爆発した中国も現在はほぼ収束。筆者は、中国の感染拡大期に多くの中国在住者を取材し、拡大防止策などを著書で紹介した。ここでは同書に登場する「中国で働く日本人」たちに聞いた、5月末現在の中国各地の状況をお伝えする。
【上海】強い警戒感がウイルスを封じ込める
中国の大都市の中でも、上海は感染が広がらなかった地域だ。
日本企業の上海支社で現地社員として働く木村さん(仮名、38歳)は、「感染者が、武漢から帰ってきた人とその濃厚接触者にとどまっている1月から2月初めに、上海の人たちは家にこもったので、市内感染が広がらなかった」と話した。
上海市内の感染者ゼロが続く中でも、木村さんは「上海の中は安全だけど、外から入ってくる人は分からないので、大きな荷物を持っている人に近づかないようにしている」と警戒感を口にする。それでも最近、湖北省から移動してきた人の感染が発覚し、「ちょっと緩くなると、感染者ゼロは止まる」ことを認識し直したという。
中部地方にある日本企業の駐在員、落合さん(仮名、42歳)も「上海は感染者対策を徹底しており、日本にいるよりはるかに安全」と話す。落合さんは中国の感染が落ち着いた3月下旬、妻子とともに日本から上海に戻った。その際、空港から隔離施設に連れていかれ、PCR検査で陰性と判明するまで自宅に戻れず、自宅に帰った後も、玄関にブザーを付けられ2週間外出を許されなかった。
「自分自身が厳しい水際対策を経験して入国しているので、上海市がどれほど本気で感染対策を行っているかを実感として知っている」という。落合さんの子どもたちの学校の登校再開日も決定し、「これで最後のピースが埋まった感じ」としみじみと話した。
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