新型ハリアーはトヨタの新たな到達点:池田直渡「週刊モータージャーナル」(6/6 ページ)
トヨタは、売れ筋のSUVマーケットにまた強力な新兵器を投入する。SUVバリエーションの最後のピースであるハリアーだ。結論からいえば、新型ハリアーは、多面的なその調律に成功し、トヨタブランドの範疇(はんちゅう)の高級というものが、バラバラの要素ではなく、一つの方向にキチンと収斂(しゅうれん)して、なるほどと思わせるものになっていた。
新しい段階へ
さて、ハリアーだが、これはトヨタの新たな到達点だと言えるだろう。エクステリアとインテリア、パワートレインと足回り、そういう全ての方向性がキチンと同じ指揮の元で統率されている。
それがチーフエンジニアの資質によるのは確かで、やり過ぎない見識がある人がまとめない限りこういうものにならない。そして3種のSUVを1人のチーフエンジニアに任せ、車両の性格分けポートフォリオというやり方でなければ、こういうものにはならなかったはずだ。
このクルマづくりが一人のチーフエンジニアの属人的スキルに終わるのか、トヨタの仕組みとして取り込まれていくのかは大きな分かれ目だと思う。数カ月内にまた公道での試乗会があるようなので、もう少し普通の条件で市販バージョンを試した時に続編をお届けしたい。
筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答を行っている。
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