コロナ禍による転職危機はサラリーマンを「会社人間」に逆戻りさせるのか:doda編集長に直撃(1/3 ページ)
コロナ禍で転職における急激な「買い手市場化」が進む。転職が難しくなる中で日本のサラリーマンは「会社人間」に戻るのか。doda編集長に直撃。
さまざまな業界に広範囲に影を落としている新型コロナウイルス。中でも影響が顕著に現れつつあるのが転職市場だ。リーマンショック時とも比肩される「コロナショック」における、急激な買い手市場化の背景とは。そして、それだけにとどまらない本質的な人材市場の変化とは何か。人材大手のパーソルキャリア(東京・千代田)が運営する転職サービス・doda編集長の喜多恭子氏に聞いた。
求人数急減、求職者は横ばい
――2019年ごろまでは、転職市場は慢性的な人手不足から売り手市場でした。それがコロナ禍で急激に買い手市場に転じましたが、どのような背景があるのでしょうか。
喜多: 確かに有効求人倍率は急激に低下しています。20年3月の倍率は1.43と、17年6月ぶりの低水準でした。背景にあるのはやはり、求人数の大きな減少です。20年3月の求人数は前年同月比で13.6%減。一方、求職者数は0.7%増と横ばいでした。
dodaの4月のデータでも、季節要因を加味すると新規の登録者数よりも求人数の減少幅の方が多い結果になりました。これはリーマンショック時と同じような現象だと言えます。
ただ業界別に見た場合、リーマンショックで顕著に打撃を受けたのは製造業でした。今回のコロナ禍では外食への影響が若干目立ちますが、業界別にそれほど差は無く、満遍なく全業種にインパクトを与えていると言えます。
このように急激に買い手市場に転じ、転職者1人当たりの応募企業数が増えています。一方でまだ採用を静観している企業が多いのが現状です。パーソルキャリアの調査でも、新型コロナの採用への影響について企業の約36%が「影響あり」と回答。そのうち45.5%が「採用活動の再開時期のメドは立っていない」と答えています。
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