社長、間違ってます! 米国で広がる「従業員アクティビズム」で会社は変わるか:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
日本では会社で主義主張を叫ぶことは歓迎されないが、今、米国を中心に「従業員アクティビズム」が広がりつつある。Facebookやニューヨーク・タイムズなどで、社会問題に絡む経営陣の判断に従業員が抗議。従業員自ら会社の存在意義を考え、変えることもできるのだ。
新型コロナウイルスの感染拡大によって世界各地で外出自粛措置が取られたことにより、テレワークが実施されるようになるなど、働き方も変化しつつある。
働くという行為は現代人の生き方や社会と切り離せないものだが、ほとんどの従業員は自分の個人的なイデオロギーや政治信条などをあまり露骨に表に出さないようにしているのではないだろうか。海外でも「雇い主と従業員」「上司と部下」などという関係性がある組織では、大声で主義主張を叫ぶことは歓迎されないし、日本なら、特に同調圧力が強い国ということもあって、あまりに人と違う主義主張は歓迎されない傾向がある。
ただ最近、海外のメディアなどで「エンプロイー・アクティビズム(従業員アクティビズム)」という言葉を目にするようになった。会社や経営者の方針に対して毅然と立ち上がり、他の従業員を巻き込んで内部から運動を起こす「アクティビズム」が、いま米国を中心に広がりを見せているという。従業員アクティビズムとは、いったいどんなものなのか。
「社会を良くしたい」と声を上げる従業員
まずはっきりさせておきたいのは、これは賃上げや労働環境を改善するために活動する労働組合とは違うことだ。米PR会社のウェーバー・シャンドウィック社の調査によれば、従業員アクティビズムに関わる人の定義は「社会に影響を与える問題について、雇用主に対して賛成や反対を堂々と述べる人」だという。
つまり社会を良くするという目的で、雇い主にも物申す従業員のことをいう。最近最も興味深かった例としては、2019年6月に家具のネット通販大手ウェイフェア(Wayfair)の数百人の従業員が、ストライキを行ったケースだ。
関連記事
- 「シリコンバレーは中国に屈する」 Google元会長のエリック・シュミットが声高に唱える“危機感”
トランプ大統領が中国の脅威を煽っているが、Googleのエリック・シュミット元会長も、AIの分野で中国への危機感を主張する。中国は人権を無視したデータ収集や企業への巨大投資によって、スマートシティ構想を加速。日本も含めて、研究開発を進めないと追い付けなくなる。 - 検察庁法騒動から見る、Twitterの“大きすぎる影響力”と功罪
政府が検察庁法改正案の成立を見送った。Twitterで巻き起こった反対運動がその背景にある。政府にも影響を与えるTwitterのプラットフォームをどう捉えるべきか。海外では大量の偽アカウントが暗躍しているのが現実。実態を知った上でビジネスにも使うべきだ。 - “世界で最も心地よい”スニーカーは、日本でも爆売れするか
「世界で最も心地よいシューズ」と評されたスニーカーブランド「オールバーズ」が日本初上陸した。環境への配慮や履き心地を追求したシューズが、なぜここまで評価されているのか。その背景には、明確なビジネス戦略があった。 - スーツ姿のビジネスマンが「時代遅れ」になる日
米金融大手ゴールドマン・サックスが社内のドレスコードを緩めると発表した。米国企業では、職場の服装がカジュアル化しつつある。ビジネススーツが「過去の産物」となる日も遠くないかもしれない。 - 米国の新型コロナ“急拡大”で迫りくる「中国復活」の脅威
世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大している。日本の経済活動において影響力が大きい米国でも、多くの州で非常事態宣言が出された。米国は今、どのような状況なのか。このまま感染拡大が続けば、先に復活した中国の力が増すことにもつながりかねない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.