コロナ禍こそのアナログ回帰!? 「デジタルネイティブ世代獲得」に挑む画材・コピック製造会社の「希少性」戦略:デジタルツールだけじゃない(2/3 ページ)
コピックは1987年にトゥーマーカープロダクツが開発し、現在358色にも及ぶ色数が展開されている画材だ。同社開催の「コピックアワード」は2019年はコシノジュンコ氏や20年は漫画家の小畑健氏などが審査員を務めている。アワード開催の意図やデジタルとの融合戦略などを聞いた。
デジタルネイティブ世代に刺さるマーケティング
一体どんな人が応募しているのか。同社マーケティング部の村田衣里さんはこう話す。
「前回は男女比で言うと、女性7割、男性3割で、女性のほうが多い傾向にあります。コピックアワードは無料で参加できるオンラインイベントですし、主にSNSやWebサイトで情報を発信していることもあり、年代別で言うと、10代から20代の応募が全体の約6割を占めています」
若い世代の応募が多いのも特徴だという。しかし、特に10代ともなれば、物心付いたときからスマートフォンやタブレットがあり、初めて絵を描いたのがタブレット画面だという人がいてもおかしくない世代だ。
そんなデジタルネイティブ世代の若者が、いかにしてコピックと出会うのか。村田さんはこう説明する。
「これは20年以上前から変わらない傾向ですが、プロの漫画家や好きなイラストレーターの先生が(コピックを)使っているからという理由で、コピックを使い始める人が多いです。ここ数年はYouTuberの方の存在も大きいですね。そこで実際に手に取ってみて、気に入ってくださった方が友人や自身のSNSで発信してくださっていることが多いです」
さらにコピックアワードは、期間中に応募された作品を全てサイトで公開していて、ここにアナログの世界だけにとどまらない同社のデジタル戦略を見ることができる。
「作品の公開申請をいただいてから、それが応募要項に即したものか確認でき次第、3営業日以内にはWeb公開することを心がけています。受賞するしないに関わらず、いかに多種多様な表現があるかというのが分かりますし、『応募したから見て』『この作品がすごい!』というSNSでの紹介をきっかけにサイトにも来ていただけます。
また、応募者には作画のポイントとなるコピックの色番号(Key colors)も任意で記入してもらっていて、言語が異なる人が描いた作品でも、コピックの色番号という共通言語を通すことで、より親近感をもっていただけるのではと考えています」(村田さん)
さらに、デジタル世代からの応募を広く集めるため、国内最大級のイラスト投稿サイト「pixiv」とも協働し、特別賞も設けている。
「『pixiv』はイラストを描いていて知らない人はいないのでは、というくらい有名な国内屈指のSNSです。コピックが一番使用されている日本の方にアワードに参加してただくために、pixivを利用されている方との親和性は非常に高いと考え、審査に入っていただく形で協力をお願いしました。pixivではデジタルイラストの投稿が主流ですが、コピックのようなアナログイラストの投稿も増やしよりpixivを盛り上げてほしい、ということでご協力いただいております」(村田さん)
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