コロナ禍こそのアナログ回帰!? 「デジタルネイティブ世代獲得」に挑む画材・コピック製造会社の「希少性」戦略:デジタルツールだけじゃない(3/3 ページ)
コピックは1987年にトゥーマーカープロダクツが開発し、現在358色にも及ぶ色数が展開されている画材だ。同社開催の「コピックアワード」は2019年はコシノジュンコ氏や20年は漫画家の小畑健氏などが審査員を務めている。アワード開催の意図やデジタルとの融合戦略などを聞いた。
ユーザーの世代交代にも成功
プロがいまだに愛用し続ける長年のブランドがあるからこそ、世代交代にも難なく成功しているよう。さらに村田さんによると、いまこうした若者の間で「手描きへの挑戦」のような現象が起きているという。
「デジタルだからこそ実現可能な高度な表現を、どうやってコピックなどアナログ画材で現実に再現できるかを追求するのが流行しているように感じます。最初からデジタルに慣れ親しんでいる世代だからこそ、現物に対する愛着や憧れが強いのかもしれません。そして実際に、若い方に限らずデジタルツールの表現技術の幅を知っている方は、アナログへの落とし込みかたも上手で驚かされます。色の使いかたや光の表現が独特で、同じコピックで描かれた作品といえど進化していて時代を感じます」
筆者のように、中学時代にコピックを使い、やがてフォトショップなどデジタルに移行していった身からすると、アナログはそもそも限界がある手法であり、それを打破するのがデジタルという新時代のツールという考え方が根強い。
だが、最初からデジタルに慣れ親しんだ世代からすれば、データはデータでしかなく、それをプリントしたところでデータのコピーでしかない。やはり、モノというのはリアルの世界で実現できてはじめて価値を持つのであり、アナログの「職人芸」のようなものに対する憧れがあるようだ。
そして、コロナ禍で仕事のデジタル化が急速に進んでいる今だからこそ、アナログの希少性が高まるともいえるだろう。デジタル全盛の現在、コピックというアナログツールが真価を発揮するのだ。ここに、このご時世にアナログ限定のコンテストを主宰するトゥーマーカープロダクツの戦略が見える。
コピックアワード2020の応募期間は6月30日まで。公式サイトから応募することができる。
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