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「持続可能なゲームメディア」の未来像とは 電ファミニコゲーマー・平編集長を直撃ドワンゴから独立(1/4 ページ)

ゲーム情報サイト「電ファミニコゲーマー」が運営元であるドワンゴから独立するというニュースは話題になった。日本でも指折りのゲーム報道媒体として親しまれてきた同サイトだが、Webメディアとしてどうマネタイズできるかを模索している。ゲームニュースの一線に身を置き続けてきた平信一氏に、描くメディアの未来像について直撃した。

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 今夏、ゲームファンの間にあるニュースが走った。ゲーム情報サイト「電ファミニコゲーマー」が運営元であるドワンゴから独立。そのメディア部門が編集長である平信一(TAITAI)氏率いる新会社で新スタートを切ると報じられたからだ。日本でも指折りのゲーム報道媒体の1つとして親しまれてきた同サイトだが、Webメディアとしてどうマネタイズできるかを模索している。「4Gamer.net」副編集長などを務めゲームニュースの一線に身を置き続けてきた平氏に、描くメディアの未来像について直撃した。

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平信一(TAITAI、たいら・しんいち)電ファミニコゲーマー編集長、株式会社マレ社長。かつては、ゲーム情報サイト「4Gamer.net」の副編集長として、ゲーム業界を中心にした記事の執筆や、同サイトの設計、企画立案などサイトの運営全般に携わる。4Gamer時代は、対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」などの人気コーナーを担当。その後、ドワンゴにて電ファミニコゲーマー編集長。主に「ゲームの企画書」など、いわゆる読み物系やインタビューものを担当している。2019年7月から株式会社マレに電ファミニコゲーマーを事業移管。携わった書籍は『ゲームの企画書(1) どんな子供でも遊べなければならない』『ゲームの企画書(2) 小説にも映画にも不可能な体験 』『ゲームの企画書(3)「ゲームする」という行為の本質 』(以上、 角川新書)など。1977年生まれ、42歳(Unite Tokyo 2019にて撮影:山本宏樹)

ドワンゴ傘下を離れた経緯

――2016年に「電撃」「ファミ通」「niconico」「4Gamer.net」の4メディア・企業から情報提供を受けるゲーム情報のキュレーションサイトとしてスタートした電ファミニコゲーマー(電ファミ)ですが、メディア事業部門がドワンゴ傘下を離れ平さんの新会社「マレ」運営になりました。まずは経緯を教えてください。

平: 直接の原因はドワンゴの事業整理です。事業立て直しのために不採算部門を見直すことになり、電ファミもその対象になりました。他の(整理対象の)事業は3月いっぱいでなくなりましたが、うちは6月まで予算を持ってもらい、その間に引受先を探すことになったのです。何社か興味を持ってくれたところもありましたが決まり切らず、その一方で「事業引き受けまではいかないがお金を出して協力できる」という会社が出てきたので、まずは僕の個人出資で引き受けようとなったのです。

――独立した直接の原因は運営会社の経営問題ですが、平さんはそれとは別にこうしたWebメディアのビジネスモデルに対する問題意識も多く発信してきました。電ファミについても、今回の新スタートを機に異なるマネタイズ方法の模索に取り組んでいます。オンラインやリアルイベントで読者を集めサロンを形成する「ユーザー協賛」の手法を試していますね。なぜそんな考えに至ったのでしょうか?

平: 今のWebメディアのあり様という物は、結局ビジネスモデルに引きずられ、依存してしまっていると思います。例えば、なぜ(取材せずWebから拾ってきた情報を集めた)「まとめブログ」的なサイトが流行るかと言うと、WebメディアのビジネスモデルがPV(記事のクリック数)に比例してお金がもうかるからです。

 僕らが思う「良い記事」はPVと比例するかというと、残念ながらそうじゃない。例えば、経済系の雑誌などでは「10万人のビジネスマンに読まれる記事」が良い記事ですが、ネット上で10万人にちゃんと読まれてもたかだか「10万PV」ですよね。それより猫や水着の女性の写真の方が簡単に100万PVも取れる。

 ネットメディアの1つの問題点というのは、記事が「広告」という仕組みによって、PVのみで価値が決定されてしまうところなのです。同じPVの記事が“等価の価値”なのか、という。これこそが、Webの世界で突きつけられている課題です。

 新聞社といった既存メディアがそうでないところで踏みとどまれているのは、今までの(紙媒体などの)ビジネスモデルが強固で、そこで得られる一次情報や体制を流用して(Webサイトを)運用しているから。母体の強さで成り立っているわけです。でも、一次情報を作っている新聞社の体制が100%Webに切り替わったら、運営は難しくなっているだろうと思います。

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