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「持続可能なゲームメディア」の未来像とは 電ファミニコゲーマー・平編集長を直撃ドワンゴから独立(2/4 ページ)

ゲーム情報サイト「電ファミニコゲーマー」が運営元であるドワンゴから独立するというニュースは話題になった。日本でも指折りのゲーム報道媒体として親しまれてきた同サイトだが、Webメディアとしてどうマネタイズできるかを模索している。ゲームニュースの一線に身を置き続けてきた平信一氏に、描くメディアの未来像について直撃した。

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※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

広告モデルのみに依存しない

――電ファミはゲーム史に名を残した名作ゲームのクリエイターに、製作時のエピソードを聞いて、まとめていく看板企画「ゲームの企画書」をはじめ、ゲーム業界や著名タイトルについてじっくりインタビューをしたり分析を重ねたりした記事が売りです。ただ、ゲームメディアに限らずWebメディアの多くは、それこそ一次情報を取材するテレビ・新聞などの報道を「切り貼り」した程度の、まとめサイト的なモノが大勢を占めているようにも思えます。

平: 僕も「手間暇かけて作る記事がちゃんとリターンするかは、Webという構造の中では不可能だろう」という問題意識を持っています。PVだけ考えれば、「取材しない」方が効率的ですよね。

 ゲーム業界の話で言えば、E3(米ロサンゼルスで毎年開催される世界最大のゲーム見本市)などの取材はせず、海外で配信される(Webで流れる)情報をストリーミングして得た方が楽で早い。取材しに行く意味は何ですか? となる。極端に言えば、「(情報を)パクってコピペした方が良い」となってしまいます。

 ただ、一方で僕が「まとめサイト」を完全否定する気になれないのは、あれはあれで動きの早さや感度の良さがあるからです。(雑誌などの)旧媒体にそういう感度があるかと言うと、無いですね。そうやって一次情報のソースをあてにして、二次情報を効率的に「作る」のが、昨今の(ネットメディア業界の)勝ちパターンだったんです。

 でも、それは(旧来のメディアの)一次情報をあてにしていますよね。一次情報が完全に消えた世界で彼らはどうなるのか? とも思います。

――電ファミはあくまで「ゲームを作る人の情熱を伝えたい」と掲げ、「広告モデルのみに依存しない」とも表明しています。具体的にはどういったマネタイズを構想していますか?

平: うまくいくかどうかは分かりませんが、電ファミを運営するマレという会社の向かう方向としては、メディアの運営だけでなく「企画会社」を考えています。「発信力の強いオウンドメディアを持っている企画会社」として立ち振る舞うようになるのかな、と。

 ここで期待されるのは面白い、ネットに響くような記事や企画を作ることだと思います。電ファミがクオリティーの高い記事を掲載していけば、自分たちのブランドを高められるというメリットができる。

 一方で、いわゆる「PV保証(広告のクライアント企業に、どれくらいたくさんのPVが確保できるか保証すること)」をどうする、といったモデルではなくなります。記事1つ作るのにも(手間が掛かるため)費用対効果は悪くなる。むしろ、(広告ビジネスより)企画制作の能力を伸ばしていく方が前向きだと思っています。

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電ファミニコゲーマーの看板企画「ゲームの企画書
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出版やコンテンツ業界が変化する中、編集者やコンテンツに携わる人たちの仕事も多様化している。電ファミは業界の重鎮に登場してもらいながら、仕事の在り方について本質的な問いを投げかけるインタビュー記事を多く出している(今、編集者の最前線はどこなのか。元カドカワ社長が『ソードアート・オンライン』担当編集に“退社理由”を聞く【三木一馬×佐藤辰男】より)

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