なぜ「NiziU」は注目されているのか 背後に世界的プロデューサーの話術:スピン経済の歩き方(3/5 ページ)
9人組ガールズグループ「NiziU」(ニジュー)が人気を集めそうだ。ソニーミュージックとJYP Entertainmentによるオーディションプロジェクトで誕生したグループだが、筆者の窪田氏は世界的プロヂューサーのJ.Y. Parkに注目している。どういうことかというと……。
「上司」が求められる人材育成
さて、ここまで聞くと、J.Y. Parkがやっていることは何かとよく似ていることに気づかないか。実力不足の若者を成長させるため、さらなる努力をするよう導く。既に実力はあるものの、メンタルの問題でそれを発揮できない若者には、的確なアドバイスで本来の実力を引き出す――。
そう、サラリーマン社会において「上司」が求められる人材育成を、J.Y. Parkはしっかりと実践しているのだ。実際、SNSでは「私もJ.Y. Parkに褒められたい!」という声も多く、中には「理想の上司」として、オーディション中に練習生にかけた言葉を、「名言」としてまとめているサイトも存在するのだ。
という話を聞くと、「管理職は褒めてりゃいいなんてそんな甘いもんじゃない!」「結果を出させるためには、ときに心を鬼にして厳しく指導をしてやったほうが本人のためだ!」というパワ……ではなく、熱血指導をモットーとするおじさんも多いだろうが、残念ながらその「本人」たちが期待しているのは、J.Y. Parkのような「指導」なのだ。
リクルートマネジメントソリューションズが10年前から新入社員意識調査をしている。同社の新入社員向け研修に参加した若者たちを対象にしており、2020年は2030人を対象にした。その中で「あなたが上司に期待することは何ですか?」という質問に対しての回答が非常に分かりやすい。
この10年間で最も増えた回答が、「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」(+14.9%)で、その次が「よいこと・よい仕事を褒めること」(+13%)。一方で、最も激減したのが「言うべきことは言い、厳しく指導をすること」(-18.7%)、その次が「周囲を引っ張るリーダーシップ」(-16.3%)となっている。
つまり、厳しい目標や心理的プレッシャーで部下の尻をバンバン叩き、強い組織人へと鍛え上げる上司よりも、一人ひとりの特性を見ながら、丁寧な指導で、長所を褒めて成長を促すJ.Y. Parkのような上司を求める若者が年を追うごとに増えているのだ。
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