なぜ「NiziU」は注目されているのか 背後に世界的プロデューサーの話術:スピン経済の歩き方(5/5 ページ)
9人組ガールズグループ「NiziU」(ニジュー)が人気を集めそうだ。ソニーミュージックとJYP Entertainmentによるオーディションプロジェクトで誕生したグループだが、筆者の窪田氏は世界的プロヂューサーのJ.Y. Parkに注目している。どういうことかというと……。
部下を指導できない上司
こういう「教育」を生まれてからずっと受けてきた人が、上司になったからといっていきなり部下を褒められるわけがない。部下側も親や学校からずっと叱られて成長してきたので、褒められることに慣れていない。だからこそ、J.Y. Parkのべた褒め、惜しみない称賛が心に響くのではないか。
そんなJ.Y. Parkの「言葉」は、「Nizi Project」を放映していた「スッキリ」でも絶賛されている。「Park語録」という本を出してほしいというMCの加藤浩次さんに、自身の言葉が人々の心に響く理由について問われたJ.Y. Parkはこのように述べた。
「1つの仕事を長い間やっていたら、その仕事の本質的なことを感じると思います」
よく言われるが、日本のサラリーマンは諸外国のサラリーマンと異なり、スペシャリストではなくゼネラリストだ。長く同じ部署にいると仕事がマンネリ化する、組織を新陳代謝させるなどの名目で、定期異動や配置換えがコロコロある。そのような意味で、日本のサラリーマンは、1つの仕事を長くやってきたというより、1つの組織の中で長く立ち回っているという表現のほうが正確だ。
若者を褒めて伸ばすことができない。悪いところを厳しく叱ることしかできない上司は、その人自身もまだその仕事の本質的なことを理解していないからなのかもしれない。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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