コロナで変わる、桃鉄・シムシティ的な都市開発:専門家のイロメガネ(1/5 ページ)
TVゲーム「桃太郎電鉄」や「シムシティ」は、戦後日本の都市開発を単純化したものだと言えるだろう。当時の日本では、阪急や西武といった私鉄各社が都市開発をリードしていた。コロナにより働き方や購買行動が変化することで、都市開発、不動産開発がどのように変化するのか。今後のビジネスの変化についても考えてみたい。
5月25日、新型コロナウイルスの流行による緊急事態宣言が解除された。
やっと日常が戻ると思いきや、その後は東京アラートの宣言と解除、さらに1日あたりの感染者が再度増加に転じるなど、状況は二転三転している。先行き不透明な状況がしばらく続くと思われるが、今後もコロナによって生活が変化することは間違いない。
特に働き方やビジネスは、コロナで最も大きく変化したといえるだろう。一部業種では、完全に運営がストップし、在宅勤務も珍しくなくなった。一方で、リモートワークをしていた従業員は、全体の一部だとする各種アンケート調査結果もある。
しかしこの一部の変化が、戦後ずっと続いてきた「桃太郎電鉄」と「シムシティ」的な都市開発に大きな影響を与えている。
戦後、テレビゲーム「桃太郎電鉄」のモデルとなった西武鉄道的なビジネスモデルで都市部が開発され、テレビゲーム「シムシティ」のように人口が増える前提で都市開発が行われていたことを背景に、「日本の地価は上がり続ける」という、かつての土地神話が成り立っていた。
少子高齢化と人口減少、そこにコロナ禍が加わったことで日本の都市開発はどのように変わるのか。コロナと都市開発をテーマに、今後の働き方やライフスタイルを考える材料を提供してみたい。
桃太郎電鉄とシムシティ
まずは、テレビゲーム「桃太郎電鉄」「シムシティ」の2つを知らない人向けに、概要を簡単に説明をしたい。
「桃太郎電鉄」、通称“桃鉄(ももてつ)”はもともと昔話の桃太郎をモチーフにしたRPG「桃太郎伝説」から派生したすごろく型のゲームだ。プレイヤーは会社社長となって、タイトル通り日本各地を電車で移動しながら各地の不動産を購入していく。
ゲームの目的は総資産を増やすことだ。サイコロを振って止まった駅の物件・お店・畑・球場等を買うと、毎年一定の収益を得られる。各地の物件はいずれもその地域の名産品等に関わるもので、ゲームをしながら旅行気分も味わえる。そして1つの駅で物件を買い占めると利益は倍増する。このあたりは、ボードゲームで有名な「モノポリー」的な要素もある。なかには鉱山や金山など、普段は赤字だがたまに鉱脈を掘り当てて大もうけできるような面白い物件もある。
「シムシティ」は、プレイヤーが市長となって町を自由に作っていくシミュレーションゲームだ。元々はパソコンのゲームだが、日本で有名になったきっかけはスーパーファミコンでの大ヒットだろう。
住宅・商業施設・工場のほか、警察や消防署等の公共施設を建て、発電所を作って交通網を整備し、できるだけ人口を増やしていくゲームだ。
都市開発や不動産開発を、いずれも極めて単純化することでゲーム化したものだ。市長に商業施設や工場を作る権限がある点はご愛敬といったところだが、いずれのゲームも人気を博した。
これら2つのゲームと不動産開発や都市開発の関係をご理解いただいたところで、次は不動産開発や都市開発とコロナの関係を見ていくことにしよう。
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