コラム
サブスクを成功させるか、失敗させるか、キモは「3+1」:100年前からあるビジネスモデル(2/4 ページ)
多くの企業がサブスクビジネスを始めている。当初の目標を達成できずに苦しんでいるところも多いようだが、どこに問題があるのか。成功事例をひも解くと、共通点が見えてきて……。
サブスクは100年前からあるビジネスモデル
突然ですが、牛乳配達をご存じでしょうか? 牛乳メーカーの委託を受けた全国の街の販売店が、消費者の玄関先まで毎日牛乳瓶を届ける仕組み、つまり牛乳の「サブスク」です。代表的なメーカーの明治によると、現在でも546万軒の消費者が牛乳のサブスクを利用しています。
この牛乳のサブスクが誕生したのは、100年以上も前のこと。明治時代初期、ドラム缶を持った牛乳屋が量り売りをしていました。家に冷蔵庫がないため、腐りやすい。頻繁に購入する必要があったことから、小分けされたビン詰めの牛乳を毎日届けるというサブスクモデルが普及しました。この仕組みを支えたのは、全国のあらゆる町に住む、小さな販売店のネットワークでした。
先ほどの3つの要素に当てはめると、(1)「パッケージ化」は1日で飲み切れる分量に小分けされた牛乳瓶、(2)「サプライチェーン」は全国に張り巡らされた販売店ネットワーク、(3)「価格設定」は時代によって多少の変動はありますが、基本的には家計に大きな負担のない値段が維持されてきたようです。
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