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何が問題だったのか? コンビニ、24時間営業問題の本質利害の対立(4/4 ページ)

コンビニの「24時間営業」問題に関し、コンビニ本部は「それが本当にFC店オーナーのためになるのか」という問いに答える責務がある。その関心の矛先がどこにあるかを端的に表すのが「ロイヤリティの算出ベース」だ。

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 一方、FC店としては「利益」が増えるのか、それとも減るのかを考えざるを得ない。

 3000円の売り上げから得られる粗利が仮に1000円だとしよう。そこからロイヤリティを例えば10%の100円引かれるとしたら、残りは900円。そこから5000円のバイト代と例えば100円の光熱費を支払って、粗利1000円−比例費5200円=▲4200円の損失だ(売り上げ3000円−バイト代5000円=▲2000円の損失ではない)。

 地代や利子などの固定費分があるから少しでも売り上げを上げたい気持ちがあっても、やればやるほど赤字が膨れ上がるのは明白だ。深夜営業を止めたいというFC店オーナーの主張とはこういうことなのだ。

 これが深夜営業することで、5000円のバイト代を補って余りあるほどの粗利を生むのならばFC店オーナーも喜んで店を開けたいに違いない。詳細は分からないが、それは例えば今適当に挙げた数字の5〜6倍くらいは必要なのではないか。

 その売り上げが見込めないと判断したFC店オーナーにとってのベストの策は「深夜には店を閉める」ことなのだ(もちろん彼らだってコンビニ本部から脅かされている「その結果、昼間もお客が減りますよ」ということは十分懸念しているに違いない)。

 この利害対立を乗り越える本来の策は、コンビニ本部がロイヤリティ算出のベースを「粗利」から「利益」に変えた上で(もちろんその際は「率」も変える必要がある)、FC店がより多くの利益を上げるための方策をFC店の立場に立って考えることである。それが「共存共栄」ということのはずだ。

 しかし寡聞にして、大手コンビニ本部のいずれかがそうした検討をしているという話は聞いたことがない。たぶんこの先もないだろう。(日沖 博道)

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