2015年7月27日以前の記事
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何が問題だったのか? コンビニ、24時間営業問題の本質利害の対立(3/4 ページ)

コンビニの「24時間営業」問題に関し、コンビニ本部は「それが本当にFC店オーナーのためになるのか」という問いに答える責務がある。その関心の矛先がどこにあるかを端的に表すのが「ロイヤリティの算出ベース」だ。

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 しかしもう一つ、一番の本質部分で念頭に置いておかなければいけないのは、FC店オーナーとコンビニ本部が拠って立つ利益の方程式が違うことだ。

 FC店オーナーにとっての利益の方程式は誰でも理解できる。本部への上納金であるロイヤリティ、バイト代などの人件費、光熱費といった比例費に加え、さらに地代や(店を始めるために借金をしていれば)金利などの固定費を支払う必要がある。それらを売り上げから仕入れ原価を引いた「粗利」から差し引いた残りがオーナーの「利益」であり、オーナー一家はそれで生計を立てている。

 一方、コンビニ本部の主な「売上収入」はFC店オーナーから支払われるロイヤリティである。その収入から人件費や本部の諸々の運営費を差し引いた残りがコンビニ本部の「利益」となる。

 だからロイヤリティが多ければ多いほどコンビニ本部は利益が上がり、FC店オーナーとしては利益が削られる。典型的な「利害の対立」の構図だが、ロイヤリティの根拠としてのコンビニ本部のマーケティング力(この場合、商品・サービス開発、ブランド、宣伝による誘客効果など)が優れていて、店の売り上げと利益が共に継続的に上がっていればFC店オーナーとしては文句ない。

 しかし深夜営業のようなイシューが生じると、この『ロイヤリティ』の算出ベースが否応なしに引っ掛かってくる。どのコンビニ本部もFC店との共存共栄を謳っている割に、「粗利」がその算出ベースなのだ。決してFC店オーナーにとっての最終的な「利益」ではない。ここは大事なので注意して欲しい。

 この結果、どういう行き違いが生じるのか。

 コンビニ本部としては少しでも売り上げが立てば「粗利」は押し上げられる。たとえFC店が深夜バイトに5000円のバイト代を支払って、お客が5人しか来ずに3000円の売り上げしか上がらずとも、「粗利」はプラスなのでロイヤリティ額は追加されることになる。だからコンビニ本部としては、何がなんでも店には24時間営業してもらって売り上げを上げてほしいのだ。

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