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ハリアーはアフターコロナのブースターとなるか?池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/5 ページ)

多くの読者はすでにハリアーが今年の大注目モデルであること、そして売れ行き的にもとんでもないことになっていることをご存知のことと思う。7月17日にトヨタから発表された受注状況は、それ自体がちょっとしたニュースになっている。

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ベストトヨタ

 さて、この4万5000人のユーザーの買い物は正解なのか? と問われたら、おめでとうとしか言いようがない。筆者には無理だが、クルマにそれだけの金額を費やすことを是とする経済力があるなら、ハリアーはとても良い買い物だろう。

 こういうところがマーケットの面白さなのだが、コロナの影響で試乗会が延び延びになって、自動車ジャーナリストがまだ誰もクルマに触っていないうちから、ハリアー人気はすでに盛り上がっていた。Webサイトである程度の情報は発表されていたとはいえ、実車を見た人はほとんどいなかったはずなのに、不思議としかいいようがない。

 実際、筆者の幼なじみも、久しぶりに電話をかけてきたかと思えば「ハリアー買おうと思うんだけど、どう思う?」と尋ねる。RAV4から類推する限り悪くないだろうとは答えたものの、乗っていないから責任は持てないと付け加えた。不思議なことに翌日トヨタからプロトタイプ試乗会の案内が届いた。どういうタイミングなんだろうか。

 プロトタイプ試乗会から帰ってきて、彼に電話をかけたら「もう予約しちゃった」と言う。まあそれで正解だったのだけれど。


上位グレードZが備える静電タッチパネル

 筆者は、勝手に自由経済の凄みを感じていた。マーケットの嗅覚というのは時に根拠もなしに恐ろしく真実を引き当てる。時すでに遅しなのだが、実際に乗ってみたハリアーは「ベストトヨタ」といっていい出来だった。

 筆者が試乗時の検分で最も大事にするのは、操作と反応の整合性だ。アクセルをわずかに踏んだら、わずかに加速し、踏み足したら踏み足しただけ加速すること。それはハンドルもそうだ。ちょっと切ったらちょっと姿勢を変え、切り足したらその分回り込む。ブレーキも同じく。

 例えば「醤油(しょうゆ)差し」だ。香り付けのためにおしんこに数滴だけ垂らしたい時に怖がらずにそれができるのが正しいリニアリティだ。ドバッと出てしまうような醤油差しは要らない。ましてや逆さにした時どのくらい多く出るかは正直どうでもいい。

 クルマも同じで、緊張を伴うほど丁寧に操作しなくても、アクセル操作でコインパーキングの踏板をゆっくり乗り越えられること。乗り越えたら、輪止めにガツンと当たらないようにブレーキですっと止められること。そういうことが大事なので、全開加速は醤油差しを逆さにした時と同じでどうでもいい。まあもちろん日常生活で頻繁に使いたい加速度が出せないようでは困るが、2.5リットルのハイブリッドでそんなことになるわけもない。

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