気付けば日本に30店舗 コストコが女性から熱狂的に支持される理由:日本に進出して21年(4/5 ページ)
コストコが日本に進出してから21年。着実に店舗数を増やし続け、有料会員も600万人を超えた。特に女性客から圧倒的に支持される理由をビジネスモデルの観点から解説する。
「従業員を大切にすること」
ロースコストオペレーションをしながら、従業員に無駄な仕事をさせないようにする工夫がコストコではあちらこちらで見られます。
先日も川崎店に行った際にバックヤードを除く店内で働くスタッフを数えると、20人程度しかいませんでした。飲食や生鮮食品のバックヤードなども含めれば30人以上はいましたが、それでも同規模の店舗と比較したらかなり人数を絞っています。
しかし、従業員1人当たりの売り上げは高く、正社員1人で1億1000万円を超え、パートタイマーも含めた全従業員平均でも6400万円(いずれもコストコ全社平均)と大変高い生産性を実現しています。
しかし、現場で働いている従業員はいつもニコニコしています。スタッフ同士で適度に雑談しながら、楽しそうに働いている姿が印象的です。比較的、高い時給(出店地域の小売業の時給の中でコストコの時給はトップクラス。7月オープン予定の木更津店では最低時給が1300円。最高で1800円)ということもありますが、それ以上に、無駄な仕事が少なく、業務に集中できることが大きいのではないかと思います。
実際にコストコは女性が働きやすい職場としても有名です。
完全能力主義、オープンドアポリシー(上司と相談しやすい社風)、性別や国籍にかかわらずチャンスが与えられる機会均等制度が徹底されており、優秀な女性管理職も多く存在します。社内では「ジャーニーズ」という女性管理職のための社内交流会や勉強会などが企画され、女性同士の交流にも力を入れています。産休後の社員の復帰率がほぼ100%というのも、コストコの働きやすさを表しています。残業もほとんどないということですから、特に女性の働きやすさを意識した職場づくりをしていることが分かります。
売り場ではPOPも極力なくし、ついているのはブランド名、価格、容量などの最低限のものだけ。昼間、商品投入しているのは食品売り場くらいで、あとは時々乱雑になった衣料品売り場の整理整頓をする程度です。お直しやPOPの書き換え、商品の随時投入といった通常の小売店で常にやらなければならない業務から解放されているのです。従業員のことを大切にしつつ、ローコストオペレーションも徹底するという両輪を回しているからこそ、高い成長率を維持できるのです。
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