米国で人気 人とアルゴリズムを組み合わせたハイブリッド型ロボアドバイザーは日本でも増加するか?(3/4 ページ)
米ロボアド市場の成長の原動力の一つとなっているのが、純粋なアルゴリズムだけではなく、そこに人間のアドバイスを組み合わせるという、ハイブリッド型アドバイザーだ。国内でも、地銀と連携してロボアドを販売する動きがあるが、果たして上陸できるのだろうか。
パートナー企業との連携
別の潮流として、通信キャリアなど異業種の金融業への進出や、疲弊する地方の金融機関がフィンテック企業と組んでサービスを提供していく動きがある。WealthNaviやTHEOでも、自社で直販する以外に、パートナーと組んでロボアドサービスを提供している。例えば、THEOの預かり資産の約半分は提携先経由だ。20行におよぶ地銀、都市銀行や証券会社、JALやドコモなどが提携先に当たる。
マットCOOは、「直販より提携先のほうが成長率が高い。いままでの販売チャネルの成功例をみると、ロボアドのサービスを単品で売るのではなく、包括的に売るほうが成功する」と話す。ドコモでいえば、dポイント経済圏に入ることでTHEOを利用すると特典を得られたり、銀行ならTHEOを利用することで手数料が下がったりといった仕組みだ。
地銀などでいえば、顧客との物理的精神的な距離が近く、対面でやりとりできるのが強みだ。こうした環境ならば、ハイブリッド型は成り立つのだろうか。
「提携先の地銀でも、ほとんどの場合、販売はオンライン。対面のほうが預け入れ額も大きく継続率も高いが、コストがかかる。ロボアドのいいところは手数料の透明性だ。長い目で見て何が重要かというと、1つは資産配分、2つ目はコスト。できるだけコストを抑えて、かつ透明性を高くすることが重要だ」(マット氏)
一方で、対面を生かした取り組みが、ウェルスナビと北國銀行との取り組みだ。他の提携先とは「Wealthnavi for 提携先」という名称で取り組んでいるが、北國銀行ではウェルスナビが資産運用エンジンを提供し、北國銀行が「北國おまかせNavi」の名称で対面でフォローを行うサービスを提供している。
「サービス提供から約半年で預かり資産が20億円、3000人以上が(北國おまかせNaviを)利用してくれた。北國銀行とのサービスは継続率が高い。対面でやりとりしたからだと思う」と、柴山氏は話す。ただし、これは北國銀行がすでに長期の資産運用サービスにかじを切っており、考え方が一致していたからでもあるという。
「地方金融機関とは長期的な取り組みになる。丁寧にサービスの普及に取り組んでいく。声がけ自体は数年前から多くいただいているが、すり合わせは時間がかかる。ある金融機関とうまくいったからといっても、別の金融機関でもうまくいくほど単純ではない」(柴山氏)
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