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中国でも評価割れる日本のGo To キャンペーン、「第2波の中で無謀」「観光業救う苦肉の策」浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(4/4 ページ)

日本政府のGO To キャンペーンを中国メディアが報じたが、評価が割れている。キャンペーンの背景にある観光業界救済へ理解を示しつつも、コロナ感染対策の側面では無謀ともしている。一方中国はコロナ感染をほぼ収束させ、北京市は7月20日に市内の観光施設などの入場制限を緩和し、同市をまたぐ団体・パック旅行の販売を解禁した。中国では、感染ルート特定が行動の抑止力になっている。

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感染ルート特定が行動の抑止力になる中国

 中国では7月に入って、東北地方の大連市でクラスターが発生し、28日時点で北京市も含めた他都市に飛び火している。大連市政府は、感染拡大エリアの住民を対象に無料でPCR検査を実施しており、27日までに約300万人の検査を終えたという。

 28日には現地政府の発表で、大連市の近隣都市で会食をした北京在住者が、北京に戻った後に新型コロナ感染が確認されたと明らかにされた。中国政府はクラスターが発生している地域をのぞいて、国内旅行にこれといった制限を設けていない。だが、徹底的なPCR検査と、行動追跡によって感染ルートが赤裸々になる環境は、国民が遠方への旅行を控える一因になっているかもしれない。

 中国現代国際関係研究院の劉軍紅研究員は北京商報の取材に対し、「インバウンド消費が期待できず、個人の消費が伸び悩む中、存亡の危機に瀕する観光業界を救うためには、Go To キャンペーンを今すぐやる必要があるのだろう」と、日本の政策に理解を示した。

 東京を除外し、高齢者・若者の旅行自粛を呼びかけて始まったGo To キャンペーン。その政策効果とリスクへの評価は、中国の専門家の間でも割れているが、ギャンブルを見守るような視線は共通している。

筆者:浦上 早苗

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37

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