10月1日、大「内定辞退」は起こるのか:昨年と違う(2/2 ページ)
コロナ禍で初の就活となった。大学生の7割以上が内定を手にしているというが、受け入れる側の企業は安心して内定式を迎えることができるのだろうか。
内定学生とのコミュニケーションが死命を決する
直接指導できる学生には「キープ」のような非礼をすれば社会人になった後でしっぺ返しを食らうかもしれないリスクを説明できますが、そもそも相談にも来ない学生にはこうしたメッセージが届きません。けっこうな数のドタ辞退が今年は起こり得ることを危惧しています。
そうしたことにならないための策はあるでしょうか?
地味で申し訳ないのですが、地道にコミュニケーションを重ねることによる信頼感醸成しかないと思っています。昨年ある大手メーカーの人事課長が内定者にパワハラをして、その学生が自殺するという事件がありました。内定者を社員同様に拘束し、厳しい言葉でプレッシャーをかけ続けるという、本来人事に関わる者であれば考えられないハラスメントなのですが、そうした会社では「デキル人事」扱いだったのでしょう。
ゴリゴリに内定者を引きずり回して、社風に慣れさせるというのはもはや不可能です。コンプライアンスを広めるべき人事自らコンプラ違反のハラスメントを働くなど、社長の経営責任だと私は思います。そうならない、信頼感を生み出せるコミュニケーションをぜひ実行してほしいのです。
無茶な課題漬けやSNSのログインチェックなど論外です。入社前からそんなプレッシャーをかけてくる会社は、入社すればブラック労働まっしぐらなことがバレるでしょう。実際にブラックな労働環境かどうかではなく、そうした思考がブラック労働を尊重し、ハラスメントなどのコンプライアンスに反する行為を「仕事ができるから仕方ない」としてしまう社風がバレるのです。
キャリア相談で複数内定先の会社選びの相談が来るたびに、今年の内定者リテンションは例年以上に重要かつ、厳しいものになると感じている日々です。(増沢 隆太)
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