そろそろ「旅行だから、学校休みます」を認めませんか? 戦後最悪GDPから脱するために:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
新型コロナの感染拡大に伴い、日本経済が大ダメージを受けている。4〜6月期の実質GDPは、戦後最悪の年率27.8%減。このままだと7〜9月期も大変なことになりそうだが、筆者の窪田氏は「旅行を理由に学校を休む自由」を認めるべきだという。どういう意味かというと……。
遊びや旅行を理由に学校を休む自由
そこに加えて、「遊びや旅行を理由に学校を休む自由」を認める施策には、教育的な効果もあるのではないかと考えている。それは「人は違って当たり前」であることを教えることだ。学びや友人と遊ぶために学校に通うことは当然だが、一方で、この時期にしか休めないような家庭の都合がある場合、そちらを優先させてもいい。学校に通うことがあなたの人生の全てではない、という重要なことを教えるためだ。
マスクをしない人間もいれば、コロナにかかる人間もいる。自分とちょっとでも考え方が違うだけで口汚くののしり、匿名であることをいいことに会ったこともない人にSNSで「死ね」「消えろ」などと平気で言う。
われわれの大人世代はもうこのような「病」は治らないが、日本の未来を担う子どもたちはまだ間に合う。この「人は違って当たり前」ということを「遊びや旅行を理由に学校を休む自由」を享受することで身をもって学ぶことができる、と筆者は考えている。
Go To トラベルキャンペーンやワーケーションという従来のやり方が壮絶に上スベりしているように、教育現場のピンチもこれまでのやり方で乗り越えることは難しい。いや、むしろ「子どもは学校を1日も休まずに行けば、立派な大人になる」という古い価値観に固執してきた結果が、深刻な教育格差や不登校44万人という事態を招いていることを踏まえれば、これまでのやり方はゼロから見直すべきだ。
経済はもちろん、教育、医療、さまざまな分野で「そんなバカなことありえないでしょ」というくらい思い切った新しいアイデアが必要になっているのではないだろうか。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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