日本電産永守会長が炎上! 「即戦力になる新卒」を求めることは、罪深いのか:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
カリスマ経営者が「炎上」してしまった。日本電産の永守重信会長・CEOである。「カンブリア宮殿」(テレビ東京)に出演したときの言動が問題視されているわけだが、どのようなコメントをしたのか。
売り上げ1兆5000億円を誇る巨大グローバル企業を一代で築き上げたカリスマ経営者が「炎上」してしまった。
日本電産の会長・CEO(最高経営責任者)の永守重信氏が「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のなかで、経営学部を出ても経営のことを全く知らず、税金のことも何も分からない新卒学生が多いと苦言を呈し、「名刺の出し方も知らないという人が毎年何百人も出てくる」などと発言したことがSNSなどでボコボコに叩かれているのだ。
アンチいわく、「大学は専門教育の場でビジネスマナーを教える場ではない」「採用をした企業側が責任をもって一人前に育成するのが筋だろ」などとカリスマの考え方を全否定。「自分たちは何もしないで学生側に多くを求める日本電産はブラック企業だ!」などと激しく罵(ののし)る人たちまで現れる始末なのだ。
ただ、永守会長をかばうわけではないが、ここまで叩かれるのもちょっと気の毒な気がしている。公式Webサイトによれば日本電産には、モーターカレッジ(技術研修)、階層別研修、各種語学研修、通信教育、一人前認定3カ年育成プログラムなど人材育成にも力を入れてきた。つまり、これまで多くの新卒学生を迎え入れて、一人前に育ててきたうえで至った考えなのである。
おまけに、単に言いっぱなしで批判をしているわけでもない。実は永守会長は2018年に京都学園大学(現・京都先端科学大学)の理事長に就任している。単なる名誉職でしょと思うかもしれないが、「自分の最後の仕事が人材教育」(ダイヤモンドオンライン 2018年8月1日)と宣言して私財も100億円以上投じるなど、ガチで大学教育の改革へ乗り出しているのだ。受け取り方は人それぞれだろうが、以下のようなダイナミックな信念も持っていらっしゃる。
『今の日本の偏差値に偏重した教育は、根本的に間違っている。若者を駄目にしている。でもそれをいくら文部科学省に言ったところで何も変わらない。だったら自分で大学をつくって、こうやったら素晴らしい人材が育つということを証明してみせようと思った』(同上)
関連記事
- テレワークの「リバウンド」はなぜ起きる? 「意識が低い」で片付けられない構造的な問題
新型コロナの感染拡大を受けて、テレワークを導入した企業が急増した。ただ、緊急事態宣言解除後は実施率が低下している。テレワークが定着しなかった企業は「意識が低い」のか。筆者の窪田氏は違う見方をしていて……。 - 長く低迷していたインスタント袋麺のブレイクは、“復権”の兆しなのか
これまで長く低迷してきたインスタント袋麺が、この3月から急にブレイクしている。「ステイホームの影響で売れているんでしょ」と思われたかもしれなしが、自粛解除後も売れているのだ。背景に何があるのかというと……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 総務のテレワークを巡る「衝撃の数字」 フルリモート実現の急所とは?
『月刊総務』編集長の豊田健一氏による、総務とDXを巡る連載。総務のテレワークに関する調査で明らかになった衝撃の数字を基に、総務のフルリモートを実現するための急所はどこにあるのかを解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.