門外不出の「編集マニュアル」には、何が書かれているのか 累計1000万部を売った話:水曜インタビュー劇場(再現性公演)(2/7 ページ)
「本がなかなか売れない」――。耳にタコができるほど聞き飽きた話だろうが、そんな中でもヒットを連発している編集者がいる。アスコムの柿内尚文さんだ。なぜ、彼が担当した本は売れるのか。その秘密に迫ったところ……。
かなりダメな会社員でした
土肥: 柿内さんの名刺を見ると、「取締役 編集局長」と肩書が印刷されていて、その下に「編集者」と書かれている。組織をマネジメントする立場でありながら、世の中にコンテンツを出していく編集者としてのこだわりのようなものがうかがえるのですが、これまでどのような経験を積んでこられたのでしょうか?
柿内: 社会人1年目のときから、かなりダメな会社員でして。学校を卒業して、最初は広告会社に就職しました。当時「マーケティングの仕事をしたいなあ」と思っていたのですが、営業部に配属されました。営業は当時の自分には向かない仕事で、毎日、仕事が嫌で嫌で仕方なかったんです。結果、2年で辞めることに。
その後、半年ほどフラフラして、「ぶんか社」という出版社に転職しました。雑誌の編集部に配属されたわけですが、企画を出してもなかなか採用されませんでした。広告会社で働いていたときに“ヘンな癖”が身に付いてしまって、周囲の顔色ばかりうかがっていたんですよね。上司からは「一体、お前は何をやりたんだ」とさんざん言われまして。
そうした状況が長く続いていたので、ものすごく悩みました。「どうやったら、このような状況から脱出できるのか」と。その答えを本に求めました。特に読んだのがビジネス書で、企画をたてるには「こうすればいい」「ああすればいい」といったことが書かれていて、実際にやってみることに。本に書いてあったことを繰り返していくうちに、だんだん企画も通るようになってきました。
土肥: ふむふむ。
柿内: 5年ほど働いて、2000年に「アスキー」に転職しました。20代の自分は、本によって助けられました。自分の中にある悩みや課題を解決するために、いろいろな本を読みまして。特に、実用書をたくさん読みました。そのうちに「実用書って人生にすごく役立つ」ことが分かってきたので、それを多くの人に伝えることができないか。こうした思いが強くなってきて、実用書に携わることにしました。
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