「他と違った行動を認めない」「テレワークで細かく監視したがる」上司が、企業のイノベーションを阻害している:アフターコロナ 仕事はこう変わる(2/5 ページ)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴いテレワーク化が進められている。一方で、「相変わらず、対面の社内ミーティングが必須」といった企業も少なくない。こうした現状について、『職場の問題地図』などの著書で知られる業務改善・オフィスコミュニケーション改善士の沢渡あまね氏は、「日本型マネジメントの根底には、“幼稚性”がある」と指摘。インタビューで真意を聞いた。
日本型のトップダウンマネジメントは時代遅れ?
――かつては、日本のトップダウン型のマネジメントは世界的に評価されていましたが、今の時代には合っていないのでしょうか。
誤解されないよう補足しますが、私は統制型(ピラミッド型)のマネジメント自体を否定しているわけではありません。今でも、こうしたマネジメントが効果的な業種や職種はあるはずです。製造現場など。ただ、時代や社会環境の変化に伴い、マッチしない業種や職種が増えてきているのだと捉えています。
統制型(ピラミッド型)は、製造業に最適化されたモデルです。長年の設備投資やテストの末にマーケットにローンチするというビジネスモデルの場合、決められたプロセス通りに業務を遂行するマネジメントは合理的です。
でも、今はご承知の通り、スピーディーなトライアンドエラーが問われるIT業界の存在感が高まっています。事実、GAFAに代表される新興企業がイノベーションを起こし、日本の大手企業を凌駕(りょうが)していますよね。
あのようなグローバル企業も、もともとは若い人たちが始めたベンチャーです。共感できる仲間が数人で集まって、トライアンドエラーを繰り返し、投資家や優秀なエンジニアを集めコラボレーションして世界に新たなサービスや体験を展開する。これは、統制型(ピラミッド型)の組織では起こりにくいのではないでしょうか。
――なるほど。統制型(ピラミッド型)のやり方では、現代のビジネスのスピード感についていけていない、と。
はい。日本の統制型(ピラミッド型)のマネジメントを前提とした労働環境、法整備なども、もはや企業の変革や成長を阻害するバグです。本当は、若手や外の人の意見もくみ上げて、すぐに動かないといけないのに、昭和のおじさんがいつまでも議論をしている。これでは、革新的なITサービスなど生まれませんよね。
せめて、管理職が若手や外部とのコラボに積極的であればいいのですが、多くの場合、管理者の意識レベルは古い時代にとどまっています。部下が同じ時間働き、同じパフォーマンスを出すことを求めるといった、ある意味で幼稚園児を統制する、あるいは一昔前の中学高校の部活動のような幼稚性に基づくマネジメントは、成長の足かせになっていると思います。
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