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コロナ禍で改革急ぐファミレス サイゼリヤとジョイフルの苦戦が長引きそうな理由:「近づけない、集めない」 時代を生き抜く、企業の知恵(2/7 ページ)
コロナ禍を乗り切るためファミレス各社はさまざまな改革を打ち出している。サイゼリヤとジョイフルは苦しい状況が続きそうだ。その理由とは。
スピーディーに改革を進めるすかいらーく
すかいらーくグループでは、ガストを中心に19年から本格的にWi-Fiや携帯電話の充電用コンセントの整備を進めており、ネットカフェ化が進んでいる。18年3月には、今後5年間で18ブランドの1400店で改装を行い、Wi-Fiとコンセントを設置する旨を発表した。
もともとは、東京五輪による海外からの顧客増を視野に入れていたが、ちょうど新型コロナの流行に重なった。現状、インバウンド需要はなくなった。顧客層の中心は、コロナを恐れるファミリーから、自宅で働くリモートワーカーに入れ替わっている最中だと目される。そのため、目先の売り上げは落ちているが、打ち出し方次第によっては、外食としては類例がない面白い存在になるはずだ。
また、今夏にはガストの9店舗で、テークアウト需要の多い「から好し」の唐揚げを提供するサービスを始めた。から好しの一部メニューを、店内飲食向けに提供している。店舗の一角を改装するだけで、ダブルブランド店として斬新な感じを打ち出せる。これは、良いアイデアだ。唐揚げ導入効果で、1割ほど売り上げが伸びる傾向があり、21年3月には1140店へと一挙に広げる。
和食の「夢庵」と「藍屋」では、実験的に数店舗で始めた寿司の持ち帰り販売が好調だった。そのため、計250店以上ある両チェーンの9月のメニュー改定で、店内飲食を含めた寿司販売を全店に導入した。
このように同グループでは、コロナ禍を打開するスピーディーな改革を進めている。
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