テレワーク下でこそ威力、「顧客と会わない営業」の極意とは?:「コンタクトレス・アプローチ」に迫る(2/4 ページ)
営業が訪問しづらいテレワーク時代。「顧客と会わない」新たな営業手法が台頭。このコンタクトレス・アプローチとは?
リアル商談よりコスパはどれだけ上がる?
当社は品川駅の港南口に直結するビルに本社を構えています。本社勤務の営業担当者が、例えば山手線の隣の駅である大崎駅の企業を訪ねる場合、電車を使うと、どれくらいの移動時間がかかるでしょうか。
JR東日本大崎駅と品川駅間は、乗車時間3分と表示されています。しかし、ビルにあるオフィスからエレベーターでエントランス階に降りて、そこから直結とはいえ通路を歩いて品川駅に向かい、改札を通って山手線のホームに降りるまでには、10分程度かかります。
山手線は本数が多いとはいえ、1〜2分は待つこともあります。そして乗車時間が3分。大崎駅のホームに着いてから訪問先までも、やはり10分程度は見ておきたい。約束時間の5分前に到着すると考えると、片道の移動時間に合計30分を費やすことになります。
1件あたりの商談時間は、おおよそ60分程度。まっすぐオフィスに戻るとしたら、再び30分の移動時間が必要です。
つまり、60分の商談のために、たった1駅でも往復の移動時間が60分。合計で120分(2時間)かかるという計算になります。逆に言うと、移動さえなかったら60分という時間をもっと別の活動、つまり他の企業へのアプローチにあてられるということです。
さらに言うと、移動には往復の電車賃も必要です。JRで1駅ならせいぜい往復300円程度ですが、遠い顧客の場合は交通費もより高額になります。出張対応で宿泊も伴うとなれば、商談のためだけに多大な時間とコストがかかります。
地域や業種によっては移動手段として営業車を使用している会社も多いと思いますので、そのコストについても考えておきましょう。
営業車を、残価を差し引いて総費用200万円で購入したとして、5年間使うと想定した場合の1カ月あたりの費用は約3万3333円。その他、ガソリン代、車両保険料、車検費用、駐車場利用料、高速料金や、メンテナンス費用が発生します。合計すれば1カ月に1台あたり10万円程度の支出になっていてもおかしくはありません。
コンタクトレス・アプローチでは、アプローチ数を増やすとともに、このような移動のための「時間」や「経費」をバッサリと削減することもできるのです。
関連記事
- アベノミクス総括 経済成長しても生活は豊かにならなかった真の理由
菅内閣が誕生、筆者はアベノミクスを総括。経済成長したものの生活への好影響感じられず。真因にマクロ経済から迫る。 - コロナ禍転職不況、中でも「特に厳しい意外な人材」とは?――独自データで分析
コロナ禍で転職市場が悪化、急速に買い手市場に。中でも求人が特に激減している「人材の層」があるという。dodaの独自データから分析。 - 持ち家がもはや「冗談抜きで困難な夢」になったこれだけの理由
いまだに根強いとされる日本人の持ち家志向。しかし筆者は「冗談抜きで困難」になったと指摘。印象論でなくデータから導き出される実態とは? - 「何でもスクショ」な若者と「いつでも電話」中高年の意外な共通点――日本特有の“使えない人材”とは
「何でもスクショを飛ばして済ます」若者が話題に。ただ根底の問題は「いつでも電話」してしまう中高年と一緒と筆者は指摘。日本企業の人材、ひいてはマーケティングに横たわる課題とは? - お盆の県またいだ移動、コロナ禍で前年比3割減――東北・沖縄への流入激減
コロナ渦でお盆期間の県またいだ人の移動が減少。流入人口は全国平均で3割弱減少。KDDIが調査。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.