新型iPhoneは、スマホ市場のマンネリを打破できるのか:本田雅一の時事想々(3/4 ページ)
毎年、新しいiPhoneが発売され続けてきた結果、以前ほど市場の反応は敏感ではなくなってきている。iPhone、さらにいえばスマホ市場が成熟している中で、アップルはどのように“マンネリ”に対抗するのか。新iPhoneから考えを読み解く。
アップルが5G普及に本気な理由
市場のポジティブな反応は、懸念されていた5Gスマートフォン市場の立ち上げを加速させるトリガーとなるかもしれない。業界のリーダーであるアップルが5G普及に積極姿勢を見せ、ベライゾンとの協調姿勢を見せたことで、他端末メーカーも含めて5Gへのシフトが加速する可能性があるからだ。
サラリと流せば「iPhoneが5Gになったのね」と軽く聞き流すところだろう。
世の中、5G、5G……と話題にはなっているが、コマーシャルを見る頻度は高いというのに、実際に使える場所は限られている。とりわけ日本のエリアは狭い。5Gでつながったからと言って、何が変わるというのだ。
しかし北米のみとはいえ、アップルがコストの高いミリ波対応を、全てのiPhone 12シリーズに盛り込んだというのは、かなりの力の入れ方だ。
LTEモデムが高価なものでも20ドル前後なのに対して、5G対応モデムは高コストだ。アップルが組み込んでいるものは75ドル程度のコストが掛かっていると推定されている。さらにミリ波対応には追加で50ドル掛かる。
これだけのコスト上昇にもかかわらず、ドルベースの価格上昇なしに、比較的低価格なiPhone 12 miniを含むシリーズ全製品にミリ波対応5Gモデムを採用したのだ。
現時点では5Gで使える場所が少なくとも、数年先には多くの人が5Gネットワークに「いつの間にかつながっている」。そんな近い将来を実現するための種まきとして、このコスト上昇をアップル自身がのみ込んだともいえる。
現時点で5G対応は大きなセールスポイントとはしにくいが、消費者に5G対応iPhoneを持ってもらっておくことで、将来、それが次のステップへのインフラになるという考え方だ。
独自開発SoCにも宿る“種まき”
同じような種まき、未来への投資は独自開発のSoC(システム・オン・チップ)でもみられる。
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