だから、多くのアパレルは苦戦することに:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
名門ブランド「レナウン」の消滅が決まった。このほかにも多くのアパレルが苦戦しているが、なぜこのような事態に陥ったのか。店舗数の多さが関係しているようで……。
「生きた在庫」はどこへ行くのか
もちろん、これは感染拡大の状況がまったく異なることもあるが、ひとつ大きいのが、冒頭で紹介したような「在庫処分」のシステムをうまく活用していることもある。店舗のセールでさばく代わりに、ディスカウントショップやホームセンターなどで「たたき売り」をすることで、かろうじて利益を出しているのだ。
ただ、こういう「裏ワザ」は薬物と同じで一度使ってしまうとどんどん依存を強めてしまう。つまり、売り上げや利益を確保して表面的な健全さを保つために、「在庫処分」をより効率的に、より巧妙にしていく、という本末転倒な方向へ進んでいってしまう恐れがあるのだ。
なぜそんなことが言えるのかというと、既に同じ構造で表面的に健全になっているものの、闇がどんどん広がっている反面教師があるからだ。それは、ペットショップだ。
犬猫等販売業者の数は14年4月1日時点で1万5974件だったが、19年4月1日時点では1万6335件と増加しているように、今やこの国ではちょっと足を伸ばせば、お気に入りの洋服を買うように、犬や猫を購入できる。
実際、ペットショップに行くと、かわいらしい子犬や子猫が小さなケージに入って、商品として「陳列」されている。新型コロナでおうち時間が増えたことで、ペットを飼う人も増えたという報道もあり、この子犬、子猫たちの多くは欲しがる人の手にわたる。
が、「小売」である以上、当然売れ残りが出る。こういう「生きた在庫」は昔は保健所で殺処分された。しかし、現在は犬や猫の殺処分ゼロを掲げて目標を達成するような自治体もちょこちょことあらわられており、飼育放棄などの持ち込みを拒否することもできるようになるなどルールの変化もあって、殺処分は激減している。
では、自治体が受け入れないとなると、この「生きた在庫」はどこへ行くのか。結論から言ってしまうと「闇」である。その全貌はよく分かっていないのがホントのところなのだ。
関連記事
- 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - セブンの「ステルス値上げ」を疑う人が、後を絶たない理由
消費者が知らない間に、こっそりと量を減らして価格は据え置き――。セブン-イレブンが「ステルス値上げ」をしているのではないかと叩かれている。なぜ、このように疑われているのか。筆者の窪田氏は、このように分析していて……。 - 「オレは絶対に悪くない!」という“他責おじさん”が、なぜ出世するのか
「オレは絶対に悪くないからな!」――。会社の幹部や上司の顔を思い出して、「いるいる。ウチの会社にもたくさんいるよ」と感じた人もいるのでは。なぜ、他人のせいにする人が出世するのか。その背景を調べてみると……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.