売上5.8倍に! ロイホ発の冷凍食品が好調なワケ:水曜インタビュー劇場(自宅公演)(5/5 ページ)
ロイヤルホールディングスが展開する「ロイヤルデリ」の売り上げが好調だ。商品は「冷凍食品」のみ。デリバリー需要が伸びている中で、なぜ冷凍商品が売れているのか。同社の担当者に話を聞いたところ……。
マーケットインの考え方で
庵原: ご指摘されたように、緊急事態宣言が解除されて、多くの外食は営業を再開しました。しかし、お客さんの数はすぐには戻らなかったですよね。
土肥: 日本フードサービス協会の集計(売上高)によると、9月のファストフードは前年同月比95.5%まで戻っているのに対して、ファミリーレストランは80.3%。このような数字を目にすると、「まずまずだな。もうちょっとで回復するよ」と思われる人も多いかもしれませんが、居酒屋は52.8%。まだまだですよね。
庵原: 誕生日などの「大ハレ」需要は戻りつつありますが、「小ハレ」は違う。つまり、大事な食事には参加しているものの、そうではないケースの場合、控えている人がまだまだ多いのではないでしょうか。例えば、会社の同僚と飲みに行くとか。
で、内食はどうなったのか。「家で楽しく食べる」というスタイルが増えたこともあって、「ケ」の需要が増えてきました。また、それだけでなく、コロナ前には存在していなかった家の中での「ハレ」を楽しむ人が出てきました。
土肥: 内食の「ハレ」は存在していなかったけれども、withコロナの生活を送っていく中で、ここの需要が生まれた。だから、売り上げが引き続き好調というわけですね。とはいえ、まだまだ産声をあげたばかり。内食の「ハレ」ポジションを確保するために、何か手を打つ予定は?
庵原: スタート時、「もっと便利にしたほうがいいのではないか」と考えました。電子レンジと湯煎、どちらのほうが楽なのか。電子レンジですよね。湯煎の場合、お湯を温めなければいけないので。ただ、利用者に話を聞いてみると、「湯煎は面倒ではない。それよりもおいしいモノを食べたい」という声がありました。便利さを追求するのも必要ですが、それよりも「おいしさ」を追求することが大事。商品から入るのではなくて、お客さんの視点から入ることの大切さを痛感しました。
土肥: プロダクトアウトではなく、マーケットインの考え方ですね。
庵原: ということもあって、10月に品数を増やしました。以前は20品でしたが、45品に。なぜ増やしたのかというと、定期的に食べていただくために、バラエティが必要だと判断したから。繰り返しになりますが、大事なことは商品から入るのではなく、お客さんの視点から入ること。「今日はどんなシーンで、どんな食卓を囲むのか」「家族は何人いるのか」「アウトドアのランチに何を食べるのか」など、さまざまなシーンに合わせて、料理を提供できればと。
土肥: ということは、今後も消費者をあっと驚かせるような仕掛けを考えているわけですね。本日はありがとうございました。
(終わり)
書籍&CDが出ました!
ITmedia ビジネスオンラインの連載をまとめた書籍『バカ売れ法則大全』(行列研究所/SBクリエイティブ)が発売されました。本連載「水曜インタビュー劇場」の人気記事をピックアップして、大幅に加筆。また弊誌では掲載していない記事もご紹介しています。また、本連載をまとめた『ササる戦略』(三才ブックス)も発売していますので、合わせてどうぞ。
さらに、水曜インタビュー劇場のMCを務める土肥義則のCDが発売されました。「全国経営者セミナー」での講演を収録していますので、ぜひビジネスのヒントに!
関連記事
- 小さくなったカセットコンロ「タフまるjr.」は、なぜ2倍ペースで売れているのか
岩谷産業のカセットコンロ「タフまるjr.」が売れている。8月に発売したところ、想定の2倍ペースで売れているわけだが、なぜ消費者にウケているのか。サイズは小さいのに……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - カレー店を増やすのは難しいのに、なぜ「100時間カレー」は急増しているのか
「100時間カレー」をご存じだろうか。首都圏を中心に、ここ数年店舗数をどんどん増やしているのだ。カレー店を増やすのは難しいと言われているのに、なぜ急増しているのか。運営しているアークスの専務取締役に、その理由を聞いたところ……。 - 巷で“スーツ離れ”が起きているのに、なぜビジネスリュックは好調なのか
テレワークを実施する企業が増えたので、オフィスに足を運ぶ人が減った。となると、スーツを着ることが少なくなり、革靴を履かなくなり、カバンも不要になり……。などと想像してしまうが、ビジネスリュックは好調に売れているという。その背景に迫ってみたところ……。 - セブンの「ステルス値上げ」を疑う人が、後を絶たない理由
消費者が知らない間に、こっそりと量を減らして価格は据え置き――。セブン-イレブンが「ステルス値上げ」をしているのではないかと叩かれている。なぜ、このように疑われているのか。筆者の窪田氏は、このように分析していて……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.