カレー店を増やすのは難しいのに、なぜ「100時間カレー」は急増しているのか:水曜インタビュー劇場(欧風公演)(1/6 ページ)
「100時間カレー」をご存じだろうか。首都圏を中心に、ここ数年店舗数をどんどん増やしているのだ。カレー店を増やすのは難しいと言われているのに、なぜ急増しているのか。運営しているアークスの専務取締役に、その理由を聞いたところ……。
カレーの外食店といえば? 多くの人は「カレーハウスCoCo壱番屋(ココイチ)」を想像するはず。それもそのはずで、店舗数は断トツに多い。ココイチの店舗数は1400店を超えているのに対し、2位の「ゴーゴーカレー」は70店ほど。その差は20倍ほど離れているわけだが、「業界2位に躍り出るのでは?」と感じさせられるほど勢いのあるカレーチェーン店が登場した。「100時間カレー」(アークス、東京都豊島区)である。
「ん? 100時間カレー? そんな店聞いたこともなければ、食べたこともないよ」という人もいると思うので、簡単にご説明しよう。「100時間カレー」は2013年に、東京の武蔵小山で産声をあげた。ホテルのレストランで出てきそうな、いわゆる欧風カレーで、ルーの色は「ビターチョコ」といった感じ。自社配合の20種類以上のスパイスを使っていて、100時間ほどかけてつくっているという。
オープンして翌年、日本最大級のカレーの祭典「神田グランプリ」に参戦したところ、いきなり優勝。16年には過去最大の差をつけて2度目の優勝を手にした。名刺代わりになるような実績を手にしただけでなく、「おいしい」といった口コミが広がって、店舗数は順調に増えていき、イートインが25店、デリバリーが87店、合わせて112店に達している(8月末現在)。
驚くのは、それだけでない。昨年12月、本格的にデリバリーを展開してから、その後もどんどん増えているのだ。勘のスルドイ読者であればお気付きだろうが、新型コロナウイルスの感染拡大が広がって、多くの外食がダメージを受けている状況にもかかわらず、一気に増やしていったのだ。
「カレー店を増やすのは難しい」と言われているのに、なぜ100時間カレーは増やすことができたのか。アークスで専務取締役を務め、カレーのレシピを開発した素谷滋さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
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