カレー店を増やすのは難しいのに、なぜ「100時間カレー」は急増しているのか:水曜インタビュー劇場(欧風公演)(2/6 ページ)
「100時間カレー」をご存じだろうか。首都圏を中心に、ここ数年店舗数をどんどん増やしているのだ。カレー店を増やすのは難しいと言われているのに、なぜ急増しているのか。運営しているアークスの専務取締役に、その理由を聞いたところ……。
カレー店を始めたきっかけ
土肥: 100時間カレーの店舗数が増えていますよね。首都圏を中心に展開しているので、「食べたことがないよ」という人が多いかと思いますが、デリバリーの拠点もどんどん増やしている。店の数が増えている背景をお聞きする前に、質問が一つ。素谷さんはカレーのレシピを開発されたそうですが、どういったきっかけで店を始めることになったのでしょうか?
素谷: 2013年4月、この会社で働くことになったのですが、なにをやるのか決まっていなかったんですよね。以前、焼き肉店で働いていたときに、そこで従業員のまかないをつくっていました。肉をカットした際に、端材が残る。そのまま捨てるのはもったいないので、ハヤシライスをつくっていました。それを食べてくれた人たちから「おいしい。もっとつくってよ」とか「ハヤシライス店をやれば、うまくいくんじゃないの?」といった声がありました。
当時のことを思い出して、「ハヤシライス店をオープンするのはどうか」と考えました。しかし、市場規模を考えると、事業化を進めるのは難しい。「じゃあ、カレー店はどうか。よし、それでいこう」と勢いだけで決めました。
土肥: 通常であれば市場調査をして、競合はどこか。立地はどこがいいのか。メニューはどうするのか。人の確保はできるのか。など、さまざまなことを考えなければいけないのに、向こう見ずな形で決めちゃいましたね。
素谷: 4月に入社して、店は6月6日にオープンしました。まだレシピが決まっていないときに、物件が決まっていたんです。社長から「いい物件があったので、そこに決めたぞ」と。その店は武蔵小山にあって、以前はスナックをやっていました。いわゆる居抜き物件で、広さは7坪ほど。カウンターしかない狭さなので、「ここでやっていけるかな」とちょっと不安を感じたのですが、「味がよければなんとかなるだろう」と思っていました。
土肥: ちょ、ちょっと。外食産業で長く働いている人が聞いたら、「この業界をなめてたらアカンで」と怒られそうな話ですね。で、続きは?
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