小田急、終電を20分繰り上げへ 深夜の利用者は約5割減:21年春のダイヤ改正
小田急電鉄は、2021年春のダイヤ改正で、終電時刻を最大20分程度繰り上げる。一部の始発列車の時刻繰り下げも行う。新型コロナウイルスの影響による夜間の利用者減少に対応する。
小田急電鉄は11月4日、2021年春のダイヤ改正で、終電時刻を最大20分程度繰り上げると発表した。夜間のメンテナンスや工事の時間を確保するほか、新型コロナウイルスの影響による夜間の利用者減少に対応する。一部の始発列車の時刻繰り下げも行う。
終電時刻繰り上げと始発時刻繰り下げの背景には、利用動向の変化がある。小田急線の最近(20年9月)の平日利用状況をコロナ前(19年9月)と比べると、終日では24.2%減。朝のピーク時でも18.9%減だったほか、午前0時台の最終列車付近では46.5%も減った。
同社は「お客さまの働き方や行動様式が従来の姿に戻ることはないと予測」しており、利用状況に応じたダイヤへと変更する。
主な変更内容は、午前0時台を中心に最終列車の発車時刻を20分程度繰り上げるほか、午前4時台を中心に始発列車の発車時刻を10分程度繰り下げる。
例えば小田原線では、現在午後11時42分に新宿を出発する小田原行きの最終列車の発車時刻が20分程度早まる。すると、小田原には午前1時前の到着になる。ダイヤ改正日と詳細なダイヤは12月中に発表する。
ダイヤ改正により、最終列車から始発列車までの時間が約30分増え、計4時間程度となる。これにより、大型重機を使用する線路設備メンテナンスの作業時間が約20%増加。変電所内での電気設備メンテナンスの作業時間は約35%増加することになる。作業時間の確保によって業務効率を向上させる。また、最終列車後の車両点検や清掃を担う従業員や、駅係員、乗務員の労働負荷の軽減にもつなげる。
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