ソニーに聞く、ジョブ型制度の運用方法 ポイントは「現在の役割で格付け」:2016年から導入(1/3 ページ)
ジョブグレード制度を導入したソニーでは、管理職比率が半減(4割→2割)したほか、過去の実績にとらわれず、現在の役割で格付・評価する運用を徹底。年功要素を完全に廃止した。その仕組みは?
ジョブグレード制度の導入で、組織・人材に関する課題を解消
ソニーにおける現行の人事制度であるジョブグレード制度は、まず2015年に等級制度が導入され、それに基づく評価制度が、翌2016年からスタートしている。
「等級制度を導入した当時は、非常に厳しい経営状況にあったうえ、人員構成の偏りを中心に、平均年齢の上昇、平均年間給与の上昇、管理職比率が約4割と高いなかで次世代の登用機会が少ない、といった構造的な課題がありました。
また、スピードの低下、カルチャーの保守化なども進むのではないかという課題意識ももっていました。そうしたなかで経営改革を断行し、組織・人材に関する課題を解消して、よりよいソニーを次の世代に残そうという目的で人事制度の改革を実行しました」(同社エレクトロニクス人事部門・人事企画部・報酬 Gp 統括課長の陰山雄平氏、以下同)
このジョブグレード制度では、管理職比率が半減(4割→2割)したほか、過去の実績にとらわれず、現在の役割で格付・評価する運用を徹底、年功要素の完全な廃止、などが大きな特徴となっている。
また、この制度の全体像としては、評価制度、報酬制度、人材育成・キャリア施策をはじめとする人事関連諸制度全ての核に「ジョブグレード」があるという位置付けである。
なお、同社のこれまでの等級・処遇制度の変遷をみると、ざっくりいえば2000年代までは職能資格制度の下、職務遂行能力をみるという形で基本的に全員の処遇が「上がり続ける」仕組みだった。これが2004年にVB/CG制度となって期待貢献に応じて、管理職層(VB)は「変動する」、一般職層(CG)は「上げ止まる」仕組みに変わった。そして今回のジョブグレード制度では、現在の役割に応じて全員が「変動する」という仕組みになっている(図表1)。
以下では、ジョブグレード制度の詳細を紹介していこう。
関連記事
- 富士通「年収3500万円」の衝撃 ソニー、NECも戦々恐々の「グローバル採用競争」
「富士通3500万円」「NTTコム3000万円」「ソニー1100万円以上」「NEC新卒年収1000万円」――。優秀な人材を獲得するためにカネに糸目をつけず施策を展開する各社の危機感と焦燥。繰り広げられる採用“狂騒曲”の本質に迫った。 - 「初任給1000万円」高額報酬のみでは、デジタル人材は獲得できない どうする?
デジタル人材は何にひきつけられ、どのような要素に対してモチベーションを感じるのだろうか。 - 「リモートワークは、ジョブ型雇用にすればうまくいく」は本当か?
メンバーシップ型・ジョブ型雇用それぞれのいい面、悪い面は何か。これらの分類を提示した本人、労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎氏に話を聞いた。
© 人事実務