スーツに見える作業着は、なぜ3倍ペースで売れているのか:水曜インタビュー劇場(水道工事公演)(3/5 ページ)
スーツに見える作業着をご存じだろうか。2018年、水道工事を行っている会社が発売したところ、売れに売れているのだ。多くのアパレルが苦戦している中、なぜこの商品はヒットしているのか。グループ会社の社長に話を聞いたところ……。
リアル店は10拠点
土肥: なぜ、このように感じたのか。この9月に、東京駅の八重洲地下街に店舗を構えましたよね。初めてリアル店舗を構えて、想定の2倍ペースで売れている。そうなると、勢いに乗って「じゃ、次は新宿で。その次は渋谷で。そしてそして……」と拡大路線に突き進むのではないかと思っていまして。
関谷: いえ、そんなことは全く考えていません。いまのところ、リアル店は10拠点ほどかなあと。なぜ10拠点なのか。当社は「アパレル業界のアップルになる」というビジョンを掲げているんですよね。アップルの製品を扱っている「アップルストア」って、全国に何店舗あるのかご存じでしょうか。10店舗なんですよね。というわけで、ワークウェアスーツの店舗も10拠点ほどを考えています。
土肥: ちょ、ちょっと待ってください。失礼ながら、その話を聞いた読者は「この社長、大丈夫なの?」「要するに、“アップル信者”なのね」などと思われてしまいますよ。ビジネス誌で紹介しているので、なぜアップルストアの数をベンチマークにしているのか。戦略にからめて、お話していただけますか?
関谷: アップルって、時計メーカーではないですよね。PCをつくって、スマホをつくって、そして「アップルウォッチ」をつくりました。時計メーカーといえば、スイスに本社を構えているところが多いですが、その市場に専門外のアップルが参入しました。当初、さまざまな声がありましたが、スマートウォッチの市場でシェアトップですよね。
個人的な話になりますが、以前の僕はたくさんの時計を持っていました。「今日は大切な商談があるので、これで」「オフの日は、これで」といった感じで、毎日のように違う時計を身につけていました。ただ、だんだん面倒になってきたんですよね。服を選んで、靴を選んで、時計を選ぶことに。そんな日々を送っているうちに、アップルウオッチと出会ったんですよ。デザインはシンプルなので、どんな服にも合う。というわけで、いまでは毎日アップルウォッチをつけるようになりました。
土肥: ふむふむ。
関連記事
- なぜ「スーツみたいな作業着」をつくって、しかも売れているのか
スーツのような作業着「WORK WEAR SUIT(ワークウェアスーツ)」が売れている。製造しているのはアパレルメーカーでもなく、作業着メーカーでもない。水道工事などを行っている会社がつくったわけだが、なぜこのような商品を開発したのか。その狙いを聞いたところ……。 - 巷で“スーツ離れ”が起きているのに、なぜビジネスリュックは好調なのか
テレワークを実施する企業が増えたので、オフィスに足を運ぶ人が減った。となると、スーツを着ることが少なくなり、革靴を履かなくなり、カバンも不要になり……。などと想像してしまうが、ビジネスリュックは好調に売れているという。その背景に迫ってみたところ……。 - 小さくなったカセットコンロ「タフまるjr.」は、なぜ2倍ペースで売れているのか
岩谷産業のカセットコンロ「タフまるjr.」が売れている。8月に発売したところ、想定の2倍ペースで売れているわけだが、なぜ消費者にウケているのか。サイズは小さいのに……。 - 売上5倍! 経営難に陥っていたキャンプ場を、どうやって再生させたのか
キャンプ場が盛り上がっている。現在は「第二次ブーム」でたくさんのお客が詰めかけているが、その一方で経営が苦しいところも少なくない。そんな中で、赤字に陥っていたキャンプ場を再生した会社がある。どうやって再生させたのか、会社の専務取締役に話を聞いたところ……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.