スーツに見える作業着は、なぜ3倍ペースで売れているのか:水曜インタビュー劇場(水道工事公演)(5/5 ページ)
スーツに見える作業着をご存じだろうか。2018年、水道工事を行っている会社が発売したところ、売れに売れているのだ。多くのアパレルが苦戦している中、なぜこの商品はヒットしているのか。グループ会社の社長に話を聞いたところ……。
「服選び」を奪う
関谷: 完成させるまでの工程がものすごく複雑ですが、研究に研究を重ねればできるかもしれません。ただ完成させても、次に値決めをしなければいけません。先ほど申し上げたように、当社の場合、大量に生産しているので、価格を抑えることができている。
グローバルメーカーであればつくれるかもしれませんが、つくるかどうか分かりません。そうした会社は、たくさんの商品を出していますよね。例えば、パンツひとつとっても、さまざまな生地を使って、たくさんの種類を出している。一方の当社は、素材は一つだけ。
土肥: 大手ができそうで、できないこと。その穴を突いて、3年目の売り上げは10億円(予定)。
関谷: 来年は30億円を目指しています!(キッパリ)
土肥: ちょ、そんな大風呂敷を広げて大丈夫でしょうか?
関谷: iPhoneの販売台数くらいは売りたいと思っていますので、まだまだですね(笑)。
土肥: また、アップル。
関谷: 「サステナブル」(持続可能な社会などの意味)という言葉をよく耳にするようになりましたが、アパレルにとってサステナブルとは何か。「服を買わないこと」だと思うんですよね。ファッションは自己表現の一つで、日々の楽しみでもある。しかし、本当にそうなのか。アパレルや小売などに、消費者は踊らされてきた側面もあるのではないでしょうか。
もちろん、「自分はこの服が好き。だから着る」という人たちの考えを否定するわけではありません。ただ、「どの服を購入すればいいのか」「今日はどの服を着ればいいのか」といったことに悩んでいる人にとって、その時間はもったいない。そうした人たちの「悩み」を奪いたいと思っているんですよね。
服を選ばないようにして、その時間を違うことに使う。そうすれば、もっと豊かな人生を送ることができるのではないか。ちょっと大きな話になってしまいましたが、そうした人たちにお役に立つことができればなあと考えています。
(終わり)
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