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上場延期で衝撃、中国・アントを知る5つのキーワード浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(3/6 ページ)

史上最大のIPOと注目されていた中国アリババの金融子会社アント・グループの上場延期が11月3日に発表された。ジャック・マー氏ら幹部3人が前日に金融当局の指導を受け、上場計画の見直しを迫られたことが理由だ。本稿ではアントの歴史や事業構造、今後の見通しなどを5つのキーワードからひも解いていく。

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2.米ヤフー、ソフトバンク間の「無断独立」騒動

 アリペイの成長期、アリババの大株主は米ヤフーとソフトバンクだった。だが11年、アリババがアリペイをジャック・マー氏が所有する中国企業に移管したことが判明し、米ヤフーが公に怒りを表明する騒動が起きた。当時、米ヤフーはアリババの株式の43%を、ソフトバンクは33%を所有していた。


ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(17年11月撮影)

 アリババは中国政府の新たな外資規制を逃れるための措置で、09年7月の取締役会で報告したと主張したが、米ヤフーは同年5月に米証券取引委員会(SEC)に提出した書類で、アリペイの所有権が10年8月に“勝手に”移されており、米ヤフーがそれを知ったのは11年3月31日だと主張した。

 米ヤフーとアリババの対立を受けて、ソフトバンクの株価も急落し、3社は和解に向けた交渉を始めた。

 結果、アリババとソフトバンクは同年7月、アリペイの収益の一部を米ヤフーとソフトバンクが間接的に得る仕組みを整える利益配分の仕組みに合意したと発表した。


11年7月、ソフトバンクによる合意の発表(リンク

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