北海道新幹線「函館駅乗り入れ」の価値とは? 80億円で実現可能、道内経済に効果:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/6 ページ)
北海道新幹線の函館駅乗り入れ構想に関する資料を入手した。現状、新函館北斗駅を新幹線駅とし、函館駅には直通していない。建設費80億円程度で乗り入れを実現する方法とは? 本州や札幌から新幹線で函館駅に行けるようになれば、経済への波及効果も見込める。
函館市公式Webサイトの「市民の声回答一覧」に「ミニ新幹線方式による函館駅へ北海道新幹線乗り入れについて」という意見と回答が掲載されている。受付年月日は2018年1月23日。北海道新幹線開業の約2年後だ。
意見を要約すると「函館駅〜新函館北斗駅間をミニ新幹線に改造し、函館〜札幌間直通新幹線を走らせることはできないか。札幌方面には乗り換え不要、本州方面へは同一ホームで乗り換え可能、北海道から提示された費用1000億円の10分の1強で実現可能、同区間の並行在来線化を逃れ、市財政等の赤字等責任負担がなくなる」
これに対し、市の「企画部計画推進室政策推進課」の回答を要約すると「新駅と函館駅とのアクセスは、整備新幹線としての整備計画から外れている。2005年8月に北海道から線路工事費が莫大で新幹線の函館乗り入れは困難と判断が示され決着が付いた。ミニ新幹線は三線軌条への改造負担が大きい。はこだてライナーで利便性を図っている」だった。
北海道新幹線開業後も函館駅乗り入れの要望はある。しかし、フル規格やミニ新幹線を出す費用はないから「はこだてライナー」で我慢してね。本当は函館市の職員だって函館駅乗り入れを望んでいるはず。苦渋の回答だっただろう。
「標準軌在来線」がベスト
北海道新幹線「函館直通線」構想を、線路、車両、ダイヤ面で紹介する。まず線路だ。新函館北斗駅は新幹線と在来線の線路が並んでいる。新幹線駅は新青森側に車両基地と保守基地があり、すでにスイッチバックできる線路がある。その保守基地へ向かう線路と在来線を結ぶ接続線を作り、そこから函館駅まで在来線を三線軌条とする。
函館本線は函館駅〜七飯駅間が複線になっている。ただし、三線軌条を複線にする必要はない。複線の運用を解消し、片方を三線軌条、片方は在来線のままとする。秋田新幹線のような単線並列の運用とする。もっとコストを下げるならば、三線軌条は分岐点から七飯駅構内までで良い。函館駅〜七飯駅間は片側を新幹線列車専用の標準軌、片側を在来線列車専用の狭軌とする。
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