異色の元ビジュアル系社員が、たった1人でインサイドセールスを立ち上げるまで 〜メール配信での大失敗、社内のすれ違いを乗り越えて〜:夢を諦め、30代で営業マンに(3/4 ページ)
高校卒業後13年間ビジュアル系バンドのギタリストとして活動し、30代を過ぎてから営業マンに転身した堤さん。現在はホットリンク(東京都千代田区)でのインサイドセールス部の立ち上げ経験をもとに、イベント登壇やSNSの発信を行うインサイドセールスのカリスマだ。異色のキャリアの持ち主は、いったいどのような経緯でインサイドセールス部を立ち上げることになったのだろうか。そして、失敗も成功も経験している堤さんが今だからこそ考える、インサイドセールス立ち上げのポイントとは何か。
インサイドセールスの孤独
このような立ち上げを一人で行っていた堤さん。リソース不足に加えてつらかったのは、孤独感だという。1日に数十件の電話やメールをして、断られる割合も多い中で、同じ業務をやっている仲間がいないことは精神的につらかったという。
堤さんは始め、自分の声が静かなオフィスに響き渡ることを気にして一人で会議室にこもって電話をしていたが、孤独感を深める原因となってしまった。そのため、現在は執務室内で電話をするようにしている。
そのような中、会社の強みを明確に発信したいという目的のため、マーケティングに詳しいメンバーを外部から数人を採用してマーケティング部ができた。堤さんの立ち上げたインサイドセールスの機能はマーケティング部の中に所属することになった。
マーケティング部の施策により、獲得するリード数がそれまでに比べて4倍程度になった。うれしい反面、リソース不足がより深刻になった時期もあったが、マーケティング担当と同じ目標を追い、連動した施策を行うようになったことで、孤独感はなくなったという。
「売り上げを上げるためにどのような戦略で営業リストを作るかや、営業メールをどのような文面にするかをマーケ部のメンバーと一緒に考えて、連動した戦略を作ることができるようになりました。1人でやっている、という感覚がなくなったことは精神的にとてもよかったです」
その後、インサイドセールスのメンバーも増え、2人となった。
同時期に堤さんはビジュアル系インサイドセールスを名乗り始める。インサイドセールスのイベントでホットリンクの取り組みを話すことが決まった際に、CEOから個人面談に呼び出された。何の話か分からないまま面談に向かうと、「バンドマン時代みたいにフルメイクしてギターを持って登壇したらどうか」と伝えられた。真面目なビジネスイベントへの登壇だったこともあり、堤さんは「絶対滑ると思って、しばらくは嫌がっていた」という。
しかしマーケティング部のメンバーや執行役員からも「絶対面白いからやったほうがいい」と後押しがあった。最終的にイベントも盛り上がり、ビジュアル系インサイドセールスとしてのイベント登壇やSNSを始めるきっかけとなった。
インサイドセールスを立ち上げるには?
堤さんが、インサイドセールスを立ち上げるために最も大切だと考えているのは「何のためにインサイドセールスを取り入れるのかを明確にすること」だという。
「インサイドセールスが話題だから導入しようというのではなく、アポイントを増やしたいのか、サービスの認知度を向上したいのかなどの理由を明確することと、その目的を社内にきちんと共有しておくことが重要だと思います」
次に大切なのは、自社のリード数を把握することだという。リードがない場合、手当たり次第に電話してアポイントを獲得する手法を取らざるを得なくなるため効率が悪い。その場合はリードの獲得を専門で行うマーケティング部隊がインサイドセールスより前に必要かもしれない。同時にそのリードを管理するツールはすでに導入しているか、導入している場合は細かい設定を扱える人がいるかどうかも確認が必要だ。
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