コロナ禍で服の“クリーニング離れ”が深刻化 成熟市場でも消費者の心をつかむために必要な3つの視点とは:復活のシナリオは(1/5 ページ)
全国的にクリーニング屋さんの店舗数だけでなく、消費者の支出も減っている。コロナ禍でますますクリーニングの需要が落ち込んでいる。成熟市場で再度成長するために必要なこととは?
コロナ下でスーツやワイシャツを着る機会が減り、紳士服業界の大手企業は軒並み「赤字決算」「店舗閉鎖」を発表しています。アパレル産業全体が苦戦していますが、そのあおりを受けて需要が減少している業界があります。それがクリーニング業界です。
最近、クリーニングに出す回数が減った、もしくは出す枚数が減ったと感じている人は多いのではないでしょうか。業界大手の白洋舎もその影響を受け、新たな対策を打ち出しています。市場の変化と新興勢力の戦略から、これからのクリーニング業の生き残り策が見えてきました。
流通小売り・サービス業のコンサルティングを約30年続けてきているムガマエ株式会社代表の経営コンサルタント、岩崎剛幸がマーケティングの視点から分析していきます。
在宅ワークで家事関連需要増
在宅ワークの普及で、消費者の家にいる時間が増えました。結果的に家庭での家事業務が増加しています。2020年5月に電力事業者のSBパワーが行った「おうち時間に関する調査」(全国の20歳〜69歳の家族と同居する500人が対象)によると、外出自粛中で家にいる女性は、多くの時間を家事に費やしていることが分かりました。「家では何をすることが多いか」と尋ねたところ、最も多い回答は「掃除」と「料理」(ともに68.4%)で、4位は「洗濯」(62.8%)という結果でした。このような変化により家事用品がよく売れています。
P&G、ライオン、花王などはコロナ下で業績が好調です。中でもライオンの20年12月期通期見通しは、売上高3550億円(前期比2.2%増)、営業利益415億円(同39.1%増)と増収増益です。衛生関連用品が大きく伸びたことに加えて、生活者の在宅時間増加により、台所用品や住居用洗剤などの消費が増え、売り上げが増加したのが要因です。コロナは家庭回帰の傾向を強めました。また、「できることは自分でする」という家事重視へとシフトしているのです。
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